GST税率変更、適用日をまたぐ取引に注意

(マレーシア)

クアラルンプール発

2018年05月28日

マレーシア税関は5月22日、物品・サービス税(GST)の税率変更に伴う措置についてまとめた「よくある質問(FAQ)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表した。GSTは6月1日より6%から0%に変更となるが、GSTのスキーム自体は継続となるため、事業者は引き続き、タックス・インボイスの発行やGSTの申告などを行う必要がある。

GSTの税率変更時の取り扱いについては、「2014年GST法(GST Act 2014)」の第66条および第67条で定められている。原則として、6月1日以前に全ての物品またはサービスの受け渡しが完了した場合、または6月1日以前に物品またはサービスの全額を支払っている場合は6%が適用される。他方、6月1日以降に全ての物品またはサービスの受け渡しが完了した場合で、かつ支払いも6月1日以降の場合は全額0%が適用される。

ただし、6月1日以降に全ての物品・サービスの受け渡しが完了した場合でも、支払いが6月1日をまたいで複数にわたって行われている場合は、6月1日以前の支払い分には6%、以降の支払い分には0%が適用される。

6月1日をまたいでサービスが提供され6月1日以降に支払いを行う場合、全額の支払日が6月1日以前の場合は6%の適用となる。6月1日以降に支払う場合は(1)サービス完了から5月31日までの分が6%、(2)6月1日から支払日までの分はクレジットノート(注)を発行した上で0%を適用するのが理論的な考え方だが、業種やサービスの種類によっては6月1日前後のサービス価値を算出しづらいものもある。対応が明確に示されていない場合や金額の大きい契約などの処理の場合は、会計事務所や税関に直接に相談するのがよいだろう(2018年5月21日記事参照)。

また第67条によると、税込み価格で表示していた商品やサービスについては、6月1日からGST分を差し引いた価格に変更する必要がある。

売上・サービス税(SST)への移行は2018年内か

事業者はGSTの税率変更に続き、今後導入が予定されている売上・サービス税(SST)への移行準備も必要となる。SST導入の具体的な日程は未発表だが、リム・グアン・エン財務相は「GSTの廃止およびSSTの導入は2018年中に行う」としている(「サン・デイリー」紙5月22日)。

(注)貸方票。売り手が買い手に対して債務を認める(返金を約束する)書類。

(田中麻理)

(マレーシア)

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