浙江省の知的財産関連訴訟で渉外案件件数が増加

(中国)

上海発

2018年05月08日

浙江省高級人民法院は寧波市で4月19日、4月26日の「世界知的所有権の日(World IP Day)」を前に、国内外のメディア、駐在代表機構などを招いて浙江省知的財産権PR週間開幕式を行い、2017年の同省における知的財産権関連訴訟件数などを公表した。

発表によると、2017年の同省における知的財産権に関わる民事一審の新規受理件数は2万2,200件(前年比19.3%増)、既済件数は2万969件(13.5%増)となった。新規受理件数のうち、7,072件は簡易手続きが選択された。民事二審の新規受理件数は1,587件、既済件数が1,559件だった。中でも、渉外(外国との案件)および香港、マカオ、台湾関係の訴訟件数が大幅に増加し、既済件数1,773件と前年比3倍となった。

また、刑事一審事件の新規受理数は258件、既済件数は271件となり、被告者439人への有罪判決が言い渡された。行政訴訟事件の新規受理件数と既済件数はそれぞれ10件だった。

最高人民法院の発表によると、2017年の中国における知的財産権に関わる民事一審の新規受理件数は、著作権が13万7,267件(前年比57.8%増)、商標が3万7,946件(39.6%増)、専利(特許、実用新案、意匠)が1万6,010件(29.6%増)だった。全国的にみると、北京、上海、江蘇、浙江、広東省の5省・市で新規受理案件数全体の70.7%を占めており、浙江省は広東省(5万8,000件)、北京市(2万5,932件)に次ぐ3位となった。

中国国内では2014年に北京、上海、広州で設置された知識産権法院に続いて、2017年南京、蘇州、武漢、成都などの11カ所で知識産権法廷が設立され、浙江省では、2017年9月8日、杭州と寧波の2カ所に設立された。

裁判のIT化が進展

2017年8月18日には、全国で初めてインターネットを活用した杭州インターネット裁判所が設立され、初審理は著作権案件だった。

他の裁判所でもIT化が推進されており、寧波両級法院による「移動微法院」では、WeChatのミニプログラム、顔認証や電子サインなどの技術が活用され、原告被告は裁判所へ出廷する必要がなく、スマートフォンで裁判が行われるようになっている。今後、こうした取組みが全国的に広がっていくとみられる。

(陳貝ベイ、楊燕、小栗道明)

(中国)

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