与党、大統領選で前財務相を擁立へ

(ブラジル)

サンパウロ発

2018年05月24日

テーメル大統領は5月22日、ブラジル民主運動党(MDB)による次期政権に向けた政策方針「未来との出会い(Encontro com Futuro)」の発表に際して、MDBの大統領候補者としてメイレーレス前財務相の擁立を表明した。これまでは大統領が再選に向け立候補するとの見方もあったが、党の方向性がようやく明らかとなった。なお、高等選挙裁判所(TSE)によれば、大統領選候補者の登録期限は8月15日となっており、MDBがメイレーレス氏を正式に登録した場合、同党にとって1994年選挙以来の大統領選候補者となる。

中道連合を組むことも視野に

テーメル大統領は自身の政権におけるメイレーレス前財務相の功績をたたえ、最良の大統領候補者と評すると同時に、中道政党の統一候補となる可能性にも期待を示した。メイレーレス氏も、有力候補者が左派、右派に両極化する傾向に懸念を示し、MDBと政策的に近い政党との連携に意欲を示している。具体的には、マイア下院議長を擁立する方針の民主党(DEM)、アウキミン前サンパウロ州知事を擁立する方針のブラジル社会民主党(PSDB)などが視野に入る。

メイレーレス氏は同日、深刻な景気後退と財政悪化を招いた前政権の大衆迎合的な政策を批判し、MDB政権で築いてきた政策を継続する考えを示した。「未来との出会い」では、経済回復や金融指標の改善、労働法改革や財政均衡に向けた憲法改正など、2016年5月以降のMDB政権の功績を強調し、政策の「前進か後退か」を有権者に問い掛けるものとなっている。

支持に伸びしろありとの見方も

4月に実施された民間調査会社ダッタフォーリャの大統領選挙に関する世論調査で、メイレーレス氏の支持率は1%にすぎなかったが、候補者に対する有権者の拒否率でみると、メイレーレス氏は17%と、テーメル大統領(64%)はもとより、有力候補者のルーラ元大統領(36%)、ボルソナーロ下院議員(31%)、アウキミン前サンパウロ州知事(29%)、ゴメス元セアラ州知事(23%)シウバ元環境相(22%)と比べて低く、支持票に伸びしろがあるとの見方もある。

(二宮康史)

(ブラジル)

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