カルフール、初のスマート店舗を上海に開設

(中国)

上海発

2018年05月30日

フランスのカルフールは5月20日、上海市長寧区に同社として世界初のスマート店舗「Le Marche(ル マルシェ)天山店」の営業を開始した。同店舗の面積は4,000平方メートル余り、販売商品数は2万5,000点を超える。また、中国IT大手のテンセント提供のIT技術を導入し、新サービスを提供している。

テンセントのIT技術を活用

新サービスは次のとおり。

  1. 多様な決済方式:a.消費者は、微信(WeChat)のカルフール専用ミニプログラム「掃碼楽」で商品のQRコードをスキャンしてすぐ決済でき、また、b.テンセントの顔認証技術を導入しており、消費者が事前に関連情報と顔認証を行えば、顔認証システムで決済できる。加えて、9台の無人レジを導入している。
  2. キッチンの設置:生鮮コーナーにキッチンを設置している。消費者は購入した食材をその場で店内のスタッフに調理してもらって食べることができる。
  3. コンテンツの活用:テンセント傘下の動画・ゲーム部門のコンテンツを店内で体験できるエリアを設け、若者の来場増につなげている。

外資企業も「新小売り」に参入

電子商取引大手のアリババは2016年10月、IT技術の活用およびオンライン・実店舗販売の一体化運営を提唱した「新小売り」という概念を打ち出した。2017年2月、アリババは小売り大手の百聯集団と提携し、百聯集団の小売りの実店舗のスマート化・ネットワーク化などの試みを進めてきた(2017年3月1日記事参照)。その後、2大IT大手のアリババとテンセントは「新小売り」型事業提携の展開でしのぎを削る。アリババは蘇寧雲商、聯華スーパー、百勝中国など、テンセントは華潤万家、永輝スーパーなどのパートナーを確保している。

外資企業も、積極的に同2社の「新小売り」に参入している。台湾潤泰集団とフランスのオーシャンが共同で中国に設立した100%外国資本のスーパー大手の高●(金の下に金2つ)零售は2017年11月20日、アリババに224億香港ドル(約3,136億円、1香港ドル=約14円)で36.16%の株式を売却し、傘下のフランス系オーシャン・スーパー、台湾系大潤発スーパーに、アリババとの新小売り事業を共同で推進めている。

カルフールも2018年1月23日、テンセントと永輝スーパーと投資意向書を締結した。テンセントと中国事業の提携関係を結成し、テンセントの技術を活用して小売り販売のスマート化の試みを推進している。「Le Marche天山店」の開設はその重要な第一歩となった。

(注)WeChatはテンセント開発の無料インスタントメッセンジャーアプリで、ミニプログラムはWeChatに組み込まれた小型アプリで、ダウンロードもインストールも必要ない。

(文涛)

(中国)

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