第1四半期のGDPは前年同期比4.8%と加速

(タイ)

バンコク発

2018年05月30日

タイ国家経済社会開発庁(NESDB)は5月21日、2018年第1四半期の実質GDP成長率を公表した。それによると、第1四半期の実質GDP成長率は、前年同期比で4.8%となり、前期の4.0%からさらに成長が加速した。タイの潜在成長率といわれる4%台の成長率が、3四半期連続して達成されており、景気の回復が本格化している。

好調な民間消費と官民による投資拡大

実質GDPを需要項目別でみると、民間消費は前年同期比3.6%増加し、前期(3.4%増)からわずかに増加した(表参照)。景気拡大による消費者のマインドが改善していることに加え、家計所得の向上によるサービス消費の増加が主な要因だ。

表 タイの実質GDP成長率〔前年(同期)比〕の需要項目別内訳

また総固定資本形成は、前年同期比3.4%増と前期(0.3%増)から大きく上昇した。民間投資の堅調さが続いているほか、さらに、前期はマイナス成長(6.0%減)だった公共投資がプラスに転じ、4.0%増に達したことが原因だ。

他方、輸出が前年同期比6.0%増と前期(7.4%増)から減速したが、輸入は9.0%増と前期(7.5%)より拡大し、純輸出はGDP成長率に対してマイナス寄与となった。輸出が減速した理由としては、タイ、インドネシア、マレーシアの3カ国間で行われている、天然ゴムの価格調整による一時的な影響がある。そのため、実際にタイからの輸出が減少しているわけではなく、自動車や電子部品などの輸出は引き続き堅調だ。

回復基調から年間成長率見通しも上方修正

NESDBは、今後の経済見通しも併せて公表した。2018年の実質GDP成長率は、前年比4.2~4.7%と予測されている。前回公表時(2月19日)の見通し(3.6~4.6%)から上方修正された。

なお、今後のタイ経済に対するリスクは、米国の通商政策、地政学的な政治リスクなど、主に海外に起因するものだ。輸出依存度が高いタイ経済にとって、世界経済の動向は引き続き重要といえるだろう。

(阿部桂三)

(タイ)

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