大豆油の輸出税を10%に削減

(アルゼンチン)

米州課

2018年05月31日

5月28日、アルゼンチン政府は政令487号/2018を公示し、大豆油の輸出税を2018年7月1日より10%に削減すると発表した(添付資料参照)。対象NCMコードは1507.90.11(大豆油を含む精製混合油で、容器が5リットルとそれ以下のもの)と1517.90.10(精製大豆油で容器が5リットルとそれ以下のもの)。

アルゼンチンは政令133号/2015(2015年12月16日付)で多くの品目の輸出税を撤廃したが、大豆や大豆油など一部の品目では減税の措置にとどまっていた。その後、2016年5月の政令640号/2016で1517.90.10の輸出税を15%の定率に下げ、12月の政令1343号/2016にて大豆と大豆油などの輸出税(2017年はそれぞれ30%、27%)を、2018年1月1日から双方とも毎月0.5%ずつ削減し、2019年末までにそれぞれ18%と15%まで引き下げる予定となっていた。しかし、今回出された政令487号/2018によって2品目の減税幅およびスケジュールが大幅に前倒しされることとなった。

アルゼンチンは、2017年に87億7,100万ドルと過去最大の貿易赤字を記録し、2018年第1四半期も約25億ドルの貿易赤字となった。国内では2017年末から続く大豆産地の干ばつの影響で生産量が伸び悩んでおり、複数の現地紙はGDPを0.2~0.4%押し下げるとも報じている。現在国内では大豆副産物の製造のため、パラグアイから大豆の輸入を行うなどして対応している。

他方、2017年末よりペソの対ドル為替レートは漸次的に下落しており、2018年1月2日時点で1ドル18.42ペソだったが、5月22日時点で24.60ペソと、約25%も下落した。急激なペソ安は大豆の輸入価格の上昇につながり、国内の大豆油製造企業の負担が増加している。政府は本政令を通じ、大豆副産物の1つである大豆油の輸出税を削減して、輸出量を拡大させるとともに、輸出競争力の強化を目的しているとみられる。

(志賀大祐)

(アルゼンチン)

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