2017年賃金調査、中央値は7.7%増の2,160リンギ

(マレーシア)

クアラルンプール発

2018年05月22日

マレーシア統計局は5月8日、2017年の賃金調査の結果を発表した。2017年の労働力人口は1,268万人で、うち866万人が賃金労働者だった。2017年の賃金の中央値は2,160リンギ(約6万480円、1リンギ=約28円)となり前年から7.7%増加した。平均値は前年比8.1%増の2,880リンギだった。統計局の首席統計官によると、好調な経済成長が賃金上昇を後押しした。

全体的に高い賃金上昇率

性別での中央値をみると、男性が前年比8.2%増の2,170リンギ、女性が前年比7.0%増の2,145リンギだった。平均値では男性が7.5%増の2,954リンギ、女性が9.1%増の2,772リンギだった。

民族別の中央値では、ブミプトラ(マレー系および先住民の総称)が10.5%増の2,145リンギ、中華系が3.8%増の2,440リンギ、インド系が11.1%増の2,000リンギとなり、中央値、平均値ともに額面では中華系が、賃金上昇率ではインド系が最も高かった(表1参照)。

表1 民族別賃金の中央値と平均値

業種別でみると、鉱業、情報通信、金融・保険、不動産・ビジネスサービス、教育などが、全体に比べて賃金が高い結果となった(表2参照)。

表2 業種別賃金の中央値と平均値

新政権による2018年中の最低賃金改定実施は不明

技術水準別の中央値をみると、全体の36.8%を占める熟練労働者が2.8%増の3,600リンギ、全体の55.0%を占める半熟練労働者が4.9%増の1,680リンギ、8.2%を占める非熟練労働者は13.4%増の1,200リンギだった。平均値でみると、それぞれ4,574リンギ(8.1%増)、1,947リンギ(7.0%増)、1,531リンギ(14.6%増)となった。

5月9日に実施された第14回総選挙で新たに政権を握った希望連盟(PH)は、国民の収入の底上げのため、全国一律の最低賃金の導入および引き上げを公約に掲げている。時期などは未発表だが、5年間の任期中に、現行の1,000リンギ(サバ、サラワク州では920リンギ)から1,500リンギへ引き上げ、2年ごとに見直しを行うとしている。

最低賃金の改定は、前政権において2018年中の実施が発表され、引き上げ幅などが国家賃金諮問評議会で審議されることとなっていたが(2017年10月24日記事参照)、政権交代に伴い、本年中の改定実施の有無についても、明確な政府発表はされていない(5月16日現在)。

ジェトロがマレーシア日本人商工会議所と共同で行った調査(2018年1~3月)によると、日系企業では最低賃金の引き上げについて、7割以上の回答企業が「経済成長に見合った賃金引き上げ」を要求するほか、約3割が「物価の地域差を鑑みた地域ごとの最低賃金設定」を希望している。

(エスター頼敏寧、田中麻理)

(マレーシア)

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