交通事故死亡者数が増加、世界2位のタイ

(タイ)

バンコク発

2018年04月25日

タイでは2017年11月、中部アユタヤ県で日本人観光客が乗車した車両がトラックと衝突し、日本人4人が亡くなる事故が発生した。現地報道によると、事故原因はスピードの出し過ぎともいわれている。こうした事故発生率の高さを受け、在タイ日本大使館では、企業を含む現地日本人に対し、交通安全の注意喚起や事故発生時の対応について情報発信している(注1)。

内務省(4月18日時点)によると、4月11~17日(タイ正月「ソンクラーン期間」)の交通事故件数は、3,733件(前年同期比1.2%増)に達した。また、交通事故の死亡者数は418人(7.2%増)、負傷者数は3,897人(2.3%増)となり、全て増加した。

世界保健機関(WHO)の報告によると、タイの10万人当たりの交通事故死亡者数は36.2人と世界2位(注2)。特に、4月中旬のソンクラーン期間は、多くの人が帰省や旅行で移動するため、交通事故が急増する。そのため、政府や民間企業による交通事故防止キャンペーンなど、ドライバーに対する注意喚起が強化されるのが恒例だ。在タイ日系企業の中には、従業員や地域のドライバーに対する交通安全の啓発活動に取り組む企業もある。

交通事故原因のトップが飲酒運転

内務省は、交通死亡事故の原因の1位は飲酒運転(40.3%)で、次いでスピードの出し過ぎ(26.5%)としている。また交通事故は、主に夕方から夜(午後4時から午後8時)にかけて発生している。最も死亡事故者数が多かった県は、東北部の交通の要衝であるナコンラチャシマ県の20件で、交通事故件数が最も多かったのは北部のチェンマイ県の133件だった。

プラユット首相は4月17日、閣議後の記者会見で、飲酒運転やスピードの出し過ぎ、バイクのヘルメット非着用などの違法行為について、法律の順守を強く呼び掛けた。

表 ソンクラーン期間中(4/11~17)の交通事故発生件数など

(注1)在タイ日本大使館のウェブサイトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)にて確認可能。

(注2)WHOが発行する「Global status report on road safety 2015」による。関連して、10万人当たりの交通事故死亡者数の世界1位はリビアの73.4人、日本は4.7人だ。

(阿部桂三)

(タイ)

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