乗用車生産台数は前年比19.9%増の134万8,000台

(ロシア)

サンクトペテルブルク発

2018年04月09日

自動車専門調査会社ASMホールディングによると、2017年の乗用車生産台数は前年比19.9%増の1348,029台となり、5年ぶりに前年比プラスに転じた(表参照)。このうち、ロシアブランド車は16.9%増の349,772台、外国ブランド車は21.0%増の998,257台となった。

表 主なメーカー別乗用車生産台数(△はマイナス値)
順位 メーカー名 2016年 2017年
台数 台数 前年比
1 アフトワズ 264,766 311,562 17.7
2 現代 207,000 233,500 12.8
3 アフトトル 97,108 137,703 41.8
4 フォルクスワーゲン 110,778 119,570 7.9
5 イジアフト 95,967 117,584 22.5
6 ルノー(注1) 74,110 99,212 33.9
7 トヨタ 39,061 66,684 70.7
8 ガズ 37,070 48,971 32.1
9 日産 36,464 45,827 25.7
10 GMアフトワズ 33,520 33,421 △ 0.3
合計 1,124,310 1,348,029 19.9

(注1)アフトワズの工場で受託生産されている「ニュー・ロガン」「ニュー・サンデロ」を除く。
(注2)順位は2017年。
(出所)自動車専門調査会社ASMホールディングおよびアフトスタトのデータを基に作成

最大手アフトワズの生産は5年ぶりに前年比プラスに

ASMホールディングによると、ロシア最大手アフトワズがトリヤッチ(サマラ州)の工場で生産するラーダは前年比18.8%増の20万4,206台と、5年ぶりに前年比プラスに転じた。特に「グランタ」は、2017年の車種別販売台数が2位になったこともあり、27.1%増の5万4,939台となった。これに続き、「ラルグス」が23.5%増の4万5,974台、「4×4」が9.4%増の3万4,840台、2015年12月から生産が開始された「エクスレイ」が35.9%増の3万3,242台、「カリーナ」が2.2%増の1万9,961台と、軒並み生産が増加した。他方、「プリオラ」の生産台数は、2.3%減の1万5,250台となった。

なお、アフトワズの工場では、「ニュー・ロガン」や「ニュー・サンデロ」(ルノー)、「アルメーラ」や「ダットサン」(日産)の受託生産が行われている。同工場で生産する「ダットサン」の生産台数は32.1%増の2万2,285台、「アルメーラ」の生産台数は4.7%増の1万5,625台となった。

アフトワズの子会社ラーダ・イジェフスクでの生産は、2015年9月から生産が開始された「ベスタ」の増産により、24.4%増の11万7,565台となった。車種別では、2017年の車種別販売台数で3位にランクインした「ベスタ」が35.2%増の8万2,164台、「グランタ」が5.0%増の3万5,401台となった。

外国ブランドの生産は回復、新規投資の動きも

外国ブランドについて、ロシア北西部では、サンクトペテルブルクの3社(日産、トヨタ、現代)が合計で前年比23.2%増の34万6,794台を生産した。自動車専門調査会社アフトスタトによると、現代の生産台数は、12.8%増の約23万3,500台となった。2017年の車種別販売台数で外国ブランドとして1位となった起亜「リオ」が貢献した。

日系メーカーの生産台数も同様に前年比プラスとなり、トヨタは70.7%増の6万6,684台、日産は25.7%増の4万5,827台を生産した。

また、レニングラード州にあるフォードは27.1%増の1万9,524台を生産した。

同じく北西部のカリーニングラードでは、地場の自動車組み立て企業アフトトルが、主に起亜、現代、BMWの計3ブランドの受託生産を行っている。2017年の生産台数は前年比41.8%増の13万7,703台となった。

モスクワでは、ルノーが前年比33.9%増の9万9,212台を生産した。同工場では「テラノ」(日産)の生産も行われている。「テラノ」の生産台数は25.3%増の1万3,293台となった。

カルーガ州では、フォルクスワーゲンが7.9%増の11万9,570台を、PSAプジョーシトロエン・三菱自動車(PCMA)が8.4%減の1万5,957台を生産した。なお、三菱自動車は2017年12月、同工場での「パジェロ・スポーツ」の生産を再開した。

極東の沿海地方では、ソレルスとマツダとの合弁マツダ・ソレルスが0.1%減の2万4,089台を生産した。

北コーカサス連邦管区のカラチャイ・チェルケス共和国では、デルウェイスが中国の力帆集団(Lifan)、奇瑞汽車(Chery)ブランドの乗用車をそれぞれ、1万6,149台(前年比2.4%増)、1,685台(2.8倍)組み立てた。

なお、現代は2018年3月、サンクトぺテルブルクでのエンジン工場設立を検討中である旨、発表した。現時点では、2021年までに年間生産能力15万基の工場を設立予定となっている(アフトスタト3月14日)。独ダイムラーは2017年2月、モスクワ州に「メルセデス・ベンツ」ブランドの乗用車工場を建設することを発表した。総額2億5,000万ユーロ以上を投じ、年間生産能力2万台の工場を建設する。こちらは2019年の稼働開始予定となっている。

EVは主に日本からの中古車輸入

アフトスタトによると、2018年1月1日時点の電気自動車(EV)登録台数は1,771台。車種別では、日産「リーフ」が1,103台(市場全体の62.3%)、三菱自動車「i-MiEV」が283台(16%)、テスラ「モデルS」が194台(11%)の順。登録状況を地域別でみると、ウラジオストクが属する沿海地方に415台、モスクワ市に328台、ハバロフスク州に163台、ソチが属するロシア南部・クラスノダル州に125台となっている。

2017年のEV新車販売台数は前年比28.4%増の95台。メーカー別では、テスラが62台、日産が29台、ルノーが3台、三菱自動車が1台を販売した。地域別では、上位から、モスクワ市が40台、沿海地方が17台、モスクワ州が11台、サンクトペテルブルク市が7台という順になっている。

また、2017年のEV中古車販売台数は前年比3.3倍の1,047台。このうち、「リーフ」が932台、「i-MiEV」が50台となっている。現状、ロシア国内で登録されているEVは輸入が主で、中古車の割合が多い。特に、「リーフ」の極東での中古車輸入の増加に伴い、極東地域でのEV登録台数が増えている。

(宮川嵩浩)

(ロシア)

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