改革の柱はイノベーションと連結性強化

(タイ)

アジア大洋州課、企画部地域推進班、バンコク発

2018年04月23日

タイ政府は、産業競争力強化や「中進国のわな」からの脱却のため、先進技術の導入や、地域経済統合による連結性を強化する意向だ。

ソムキット副首相は、タイ政府が主催した投資家向けシンポジウム(注1)で、同国を南北に縦断する高速鉄道建設、既存の国内鉄道網の複線化、主要海港・空港の拡張などの計画につき、その進捗状況を説明した。

併せて、コーブサック・プートラクーン首相府相も「長期的に一貫した国家戦略と、それに沿ったアクションプランの着実な遂行が、タイの競争力強化、中進国のわなからの脱却、持続的な成長の実現のため重要だ」と強調した。

タイ政府は、国の産業高度化に向けた長期的な国家戦略である「タイランド4.0」に基づき、2036年までに、タイの1人当たりGDPを現在の6,000ドル前後から1万5,000ドルに引き上げることを目指している(注2)。同大臣はこうした目標達成のため「次世代インフラの開発、イノベーティブな産業の創出、法律とルールの整備に重点を置く」と説明した。既に、政治や行政など11領域にかかる改革計画が国会で承認された(注3)。

全国3,400キロの鉄道網の複線化

パイリン・チューチョートターウォン運輸副大臣によると、タイ政府は2022年までの輸送インフラ開発戦略として、以下の5つの優先事業に取り組む予定だ。これら優先事業には、全国3,400キロに及ぶ鉄道網の複線化など、大規模インフラ開発が含まれ、タイ国内外との連結性の強化が期待される(添付資料参照)。

  1. 高速鉄道建設案件(4件)
  2. 鉄道網の複線化計画
  3. 首都圏高速道路網および都市鉄道の整備
  4. 湾岸の整備
  5. 航空輸送

(注1)タイ政府が3月19日、バンコクにて開催した「タイ~新たな次元へ飛躍」シンポジウム。

(注2)タイ政府は併せて2036年までに、国際経営開発研究所(IMD)、世界経済フォーラム(WEF)、また世界銀行が発表する、各国の国際競争力を示す指標にて、タイが世界15位以内に入ることも目標としている。

(注3)11領域とは、政治、行政、法律、経済、天然資源、公共衛生、司法プロセス、マスコミュニケーション、社会、エネルギー、汚職防止。残る教育および警察改革についても、準備を進めている。

(伊藤博敏、長谷場純一郎)

(タイ)

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