鉄鋼・アルミの迂回輸出防止策を発表
(カナダ)
トロント発
2018年04月11日
カナダ連邦政府は3月27日、不公平な貿易から北米の労働者を守るため、外国産の鉄鋼とアルミニウムの積み替えおよび迂回輸出を防ぐための施策を発表した。
カナダ国境サービス庁の権限を強化
具体的には、カナダ国内に輸入された鉄鋼とアルミ製品にわずかな改良を加えて、関税を避けようとする企業の特定およびそれを防止するために、カナダ国境サービス庁の調査権限を強化する。また、政府は同庁に対して輸出価格が輸出国の市場価格と比較して適切なものか決定する上での柔軟性を付与するとしている。労働組合は貿易救済措置手続きへ常時参加することが可能となる。さらに、カナダ連邦政府は、国境における法執行を強化するために関係国の税関との会議の頻度を増やし、税関当局間で緊密に連携することで、情報共有および法執行活動を改善する。
トルドー首相は、「カナダは貿易国であり、鉄鋼やアルミニウムの迂回輸出のような不公平な貿易により、北米の産業に損害もしくは損害の恐れがもたらされることを許容しない。われわれは最も重要な貿易関係を守るため、強い措置を行う。カナダは(第三国の製品が)北米市場に参入するための裏口にならない」と声明を発表した。
国内のサプライヤーとしても重要な鉄鋼・アルミニウム産業
現在、カナダでは鉄鋼およびアルミの輸入に対するものだけで71の貿易救済措置を課している。また、カナダの鉄鋼産業は2万3,000人以上を雇用し、カナダGDPの42億カナダドル(約3,528億円、Cドル、1Cドル=約84円)を占めている。アルミニウム産業も1万500人を雇用し、47億Cドルを占め、これらの産業は、カナダの製造業、エネルギー産業、自動車および建設産業にとって極めて重要なサプライヤーとなっている。
(伊藤敏一)
(カナダ)
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