シカゴ連銀経済報告、地区経済は緩やかな経済成長続く

(米国)

シカゴ発

2018年04月25日

米連邦準備制度理事会(FRB)は4月18日、地区連銀経済報告(ベージュブック)を公表した。シカゴ連銀(注)の報告によると、2018年2月末から3月の経済について、引き続き緩やかな(moderate)ペースで推移したとの認識を示した。雇用や物価などのポイントは次のとおり。

  • 雇用と賃金:雇用は引き続き緩やかに拡大した。企業には労働市場の厳しさを指摘する声があり、全ての技能水準で雇用を確保するのが難しいとの報告があった。賃金も全体的に緩やかに上昇した。特に製造業の多くでは、入門レベルの労働者について6カ月前に比べて賃金が上昇したと述べた。
  • 物価:全体的に、物価上昇は控えめ(modest)だった。新たな関税措置による鉄とアルミニウムの価格上昇に直面する製造業では、概してこの上昇分の半分を顧客に肩代わりを求めるとしている。
  • 個人消費:個人消費は緩やかに増加した。企業からは、電子商取引(eコマース)は強い成長が続き、新車の軽車両と中古車の売り上げは大幅に伸びたとの報告があった。
  • 企業支出:企業支出は控えめに増加した。主な支出は、産業機器とIT機器の交換、改修によるものだった。
  • 建設と不動産:建設と不動産は控えめに拡大した。企業は、人件費と材料費の上昇が利益を圧迫していると述べた。
  • 製造業:工業生産の成長率は堅調に推移した。鉄鋼生産は緩やかに拡大し、25%の追加関税措置を見込して輸入が急増した。自動車生産は堅調な水準だが横ばいだった。
  • 金融:財務状態はわずかに改善した。
  • 農業:農業部門の収入見込みは、中国の関税による影響への懸念にも関わらず、わずかに改善した。アルゼンチンの天候への懸念もあり、トウモロコシと大豆価格は上昇した。牛と豚の価格が低下し、牛乳価格も依然低いため、畜産業の見通しは鈍化した。

(注)アイオワ、イリノイ北部、インディアナ北部、ウィスコンシン南部、ミシガン南部を管轄。

(仁平宏樹)

(米国)

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