中古車の半数以上、現在の排ガス規制の未対応車

(セルビア)

ウィーン発

2018年04月06日

「第6回ベオグラード自動車ショー」が3月23~28日に開催された。国内では2番目の規模の自動車ショーだが、近年の好況を反映し、来場者数は前回を10%上回る1万3,525人となった。国内外の自動車メーカー、部品メーカー、機器・工具メーカーなど306社が出展した。

自動車メーカーでは、セルビア国内に生産拠点を構え、最大の販売実績(乗用車および商用車)を誇るフィアットクライスラー・オートモービルズ(FCA、2017年の販売台数3,742台)のほか、シュコダ(3,386台)、フォルクスワーゲン(VW、2,475台)、ルノー(1,998台)、フォード(1,735台)、オペル(1,697台)、ダチア(1,654台)などが出展した。日本メーカーでは、トヨタ、日産、マツダ、ホンダ、いすゞなどが、また、韓国の現代、起亜および双竜、ロシアのラーダとガズも参加した。

排ガス規制の緩い中古車の問題

セルビア輸入車・部品協会がこのほど発表した統計によると、2017年のセルビアにおける輸入車の販売台数は18万5,340台だったが、大半を中古車が占め、新車は全体の約14%の2万6,878台にとどまった。中古車のうち、61%が2000年に施行されたEUの排ガス規制であるユーロ3のみに対応するモデルだ。同協会のミロシュ・ペトロビッチ会長によると、数年前からセルビア政府に対して輸入中古車の排ガス規制強化を求めているが、政府は低所得者層への配慮を理由に対応していない。同会長は、欧州主要都市でディーゼル車の乗り入れ禁止が決定されるなど欧州全体で排ガス規制強化が進む中、今後EUで採用されている排ガス規制に対応していない大量の中古車がセルビアなどの規制強化が遅れている国に流れ込み、大気汚染が悪化することを懸念している。

セルビアには、電気自動車やハイブリッド車など環境対策車に対する税制面やバス・タクシー専用レーンの走行を可能とするなどの優遇措置がないことから、同協会はこれについても政府に提言していく考えだ。

(鈴木秀男、田中由美子)

(セルビア)

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