山東省大手企業が富裕層向け老人ホーム事業を展開

(中国)

青島発

2018年04月12日

中国では万科集団、保利地産、泰康保険など、投資会社、不動産デベロッパー、商業保険会社などの民間大手企業による高齢者産業への投資の動きが活発化している。山東省では現在、低・中所得層を対象とする老人ホームが主流だが、裕龍集団、威高集団、華通集団などの現地大手企業が相次いでハイエンド高齢者産業への参入を計画している。

しかし新たに高齢者事業に参入した企業は、医療・介護サービスや、老人ホームの設計および運営管理についての経験やノウハウが不足しており、国外の先進的な事業モデルを学んだり、外資企業と提携したりしている。青島市では、2012年に現地企業が日本の福祉関連会社ロングライフホールディングと合弁会社を設立し、富裕層・中間層向けにハイエンドな老人ホームを運営し、このホームは満室となっている(3月15日時点)。

娯楽エリアを含む15万平方メートルの複合養老施設

青島市の地元企業である裕龍集団は高齢者産業への参入を発表し、2018年3月に高齢者施設の建設に着工した。同施設は青島市の郊外に立地し、建設中のモノレール14号線の沿線に位置する。建設面積は約15万平方メートルで、リハビリセンター、自立者エリア、要介護者エリア、養老マンション、娯楽・文化エリアなどを併設するCCRC(Continuing Care Retirement Community)型(注)の複合養老施設として位置付けられている。

裕龍は、中国より20年余り前から高齢化問題に直面している日本とその介護サービス業に深く関心を持ち、数回にわたり日本の介護施設を見学した。「日本式介護のように、高齢者に対し、安全、安心および尊厳がある老後の生活を提供するのは、わが社の老人ホーム運営における根本的な理念だ」と同社の経営者は語る。

こうした経営理念を実現し、他の養老施設との差別化を図るために、同社は高齢者に配慮したバリアフリー住環境の構築や介護人材の育成に取り組んでいる。特に、要介護者や認知症患者らに対して、なるべく健康で動ける状態を維持、もしくは健康な状態に回復させようとする、日本の「自立支援」を自社の特色として顧客に提供したいと考えており、施設設計・運営コンサルティングや介護スタッフ育成などのノウハウを持つ日本企業との提携を探っている。

(注)高齢者が健康なうちから入居できるコミュニティー。

〔董●(王へんに月)涵〕

(中国)

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