山東省、爆発事故を契機に安全生産管理を強化

(中国)

青島発

2018年04月09日

3月27日、山東省棗庄市で9人が死亡する爆発事故が発生した。爆発は、元倉庫だった賃貸工場で油性塗料の生産を準備中に、廃棄された石油貯蔵タンクの改造工事を行っていたところ発生した。事故の原因は現在調査中だ。

山東省政府は類似事故の発生を防ぐため、賃貸工場を使用する場合および一時生産停止後に操業を再開する際の安全生産管理を強化する通達を出した(山東省政府機関紙「大衆日報」4月3日)。

山東省の日系企業は取り締まりに備えを

通達によると、賃貸工場(倉庫を含む)を利用している企業、および一時生産を停止した後操業を再開した企業に対し、以下の6つを重点的に取り締まる。賃貸工場および賃貸倉庫を利用している山東省内の日系企業は、以下の点に留意して備える必要がある。

  1. 規定に従い操業を再開したか
  2. 法規定に従って賃貸工場(倉庫)を利用しているか
  3. 淘汰(とうた、廃棄)すべき産業であるか
  4. 淘汰すべき危険化学品装置やタンクなどを利用して違法な生産活動をしていないか
  5. 集団事故が発生しやすい多用途建築であるか
  6. 表面上は貿易業や流通業の企業であるように見せながら、実際は危険化学品を生産、保管、使用する企業でないか

また、山東省政府は域内全ての賃貸工場(倉庫)を確認してリストを作成するほか、空き工場(倉庫)に対しても立ち入り検査を行い、実態を把握する。法規定に合致しない賃貸行為をしている場合は即座に操業停止措置を命じ、法規定に合致した賃貸行為である場合も、賃借側と賃貸側双方の義務を明確にし、安全管理を厳格に行うよう求める。さらに、賃貸工場内で熔接、電気施工、火気使用、高空作業などの危険な作業を行う場合には、検査頻度を増やし、より厳しく指導することによって、違法作業による事故を防止するとした。

今後も注視が必要な安全規制

また、山東省は今後危険化学品、道路運送、建築施工、消防、通学バス、石炭および石炭以外の鉱山、海上運輸などを重点に、安全生産強化の取り締まり活動を展開していくことも明らかになった。山東省では2016年から2017年にかけて化学関連企業の工場で相次いで事故が発生しており、安全生産の管理強化が進んでいる(2017年8月18日記事参照)。今後も同省の安全生産に関する規制や運用の動向を注視する必要がある。

なお、山東省をはじめとする中国の安全生産に関する規制の最新動向については、ジェトロ調査レポート「早急な対応が求められる環境問題および安全生産問題-近年の動向と注意事項-(2018年3月)」で確認できる。

(魯寅萍)

(中国)

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