福祉政策に重点を置いた補正予算案を発表

(スウェーデン)

ロンドン発

2018年04月24日

マグダレーナ・アンデション財務相は4月16日、2018年春予算案を発表した。春予算案は2018年度補正予算案と、今後3年間の中期的な経済政策を示す春季財政政策法案で構成される。2018年9月の総選挙を控え、従来にもまして福祉を重視した内容となった。付随して発表された経済予測では、好景気が継続し、2018年のGDP成長率を2.9%と見込んでいる。

選挙をにらむ福祉重視予算

アンデション財務相は、補正予算案発表の記者会見で、「スウェーデン経済は堅調かつ好調であり、社会整備をさらに進めるために予算を投入する」と述べた。スウェーデンでは、予算案に標語を付ける習慣があり、今回は「社会構築-安心できて持続可能なスウェーデン」だ。

経済が好調であることから、予算を福祉の充実、スウェーデン社会への移民の統合の迅速化、より環境に優しい社会構築などに投資し、社会をさらに強化する、としている。

福祉面では、3億5,000万クローナ(約45億5,000万円、1クローナ=約13円)を高齢者ケアに活用するデジタル技術の開発に投資する。また、介護職員を増強するため、65歳以上の元職員や外国での介護経験者などの雇用に2億1,000万クローナを配分する。

そのほか、保育所での書籍・読書関連に5,000万クローナを充てるほか、環境分野ではバイオガスの生産補助金、太陽光パネル設置補助金や電気自動車導入補助金を増額する。

また、労働市場におけるセクハラ、パワハラなどへの措置や、(テロ対策などを目的とした)警備の強化や税関の強化に関する増額も示された。

スウェーデン経済は好調

春季財政政策法案の前提となる政府経済予測では、好調なスウェーデン経済が強調されている。2018年のGDP成長率(季節調整済み)は2.9%、2019年は2.2%、2020年は1.9%と予測されている(表参照)。

表 スウェーデンの主要経済指標

(三瓶恵子)

(スウェーデン)

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