3月の失業率は6カ月連続の4.1%、完全雇用に近い水準

(米国)

ニューヨーク発

2018年04月12日

労働省が4月6日に発表した2018年3月の失業率(注1)は、6カ月連続で4.1%となり、市場予想(4.0%)を上回った。前月から就業者数が3.7万人減少するとともに、失業者数が12.1万人減少した結果、失業率は横ばいとなった。また、労働参加率(注2)は、前月から0.1ポイント低下し、62.9%となった。

一方で、失業期間が約半年(27週間)以上になる長期失業者が、全体の失業者に占める割合は前月から0.4ポイント減少して20.3%と、2008年8月以来、9年7カ月ぶりの低水準となった。また、適当な仕事が見つからずに職探しを断念した者(ディスカレッジド・ワーカー)や不本意ながらパートタイム労働に従事する者(経済的理由によるパートタイム就業者)などを含めた広義の失業率(U6)は、前月から0.2ポイント低下し、8.0%となった。

連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は、シカゴで行われた講演会(4月6日)において、「こうした指標の長期水準には相当の不確実性があるものの、多くの指標は、労働市場が完全雇用に近い状態にあることを示唆している」と述べた。

雇用者数の増加幅は前月の反動もあって縮小

3月の非農業部門の雇用者数の前月差は10万3,000人増となった。市場予想(18万5,000人増)を下回るとともに、前月の32万6,000人増から増加幅が縮小した。雇用増加の内訳を主要業種別にみると、対事業所サービス業(3万3,000人増)、教育・医療サービス業(2万5,000人増)、製造業(2万2,000人増)などで、引き続き前月から増加したものの、増加幅は縮小した。また、前月に大きく伸びた建設業(2月:6万5,000人増)や小売業(2月:4万7,000人増)は、それぞれ1万5,000人減、4,000人減と減少に転じた。

ムーディーズ・アナリティクスのエコノミスト、ライアン・スウィート氏は、3月は悪天候の影響に加えて、「非常に強かった2月の反動が一部に表れた」と指摘し、全体としては「とても安定して推移している」と述べた(ブルームバーグ4月6日)。

また、平均時給は前月比0.3%増(2月:0.1%増)、前年同月比2.7%増(2月:2.6%増)の26.8ドル(2月:26.7ドル)と、市場予想どおりの結果となった。

(注1)失業率は、労働力人口(就業者+失業者)に占める失業者の割合。

(注2)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(権田直)

(米国)

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