2017年のGDP成長率は1.5%

(チリ)

サンティアゴ発

2018年04月16日

チリ中央銀行発表(3月19日)によると、2017年第4四半期の実質GDP成長率は前年同期比3.3%、通年では1.5%となった(表1参照)。なお、バチェレ前政権期間(2014~2017年)の平均成長率は1.7%で、1990年以降の政権で最低の数値となった。

表1 需要項目別実質GDP成長率〔前年(同期)比〕

通年のGDPを需要項目別にみると、内需が3.1%増と牽引した。民間消費では自動車、家電などの耐久消費財、衣類などの非耐久消費財が伸びた。総固定資本形成をみると、ビルなどの建設減、鉱業分野などの業務の減少により、建設・その他の投資はマイナスとなったが、工業やリペア用機器などが増え、設備投資は5.1%増とプラスに転じた。輸出は鉱物輸出量が前年比減となり、また果実輸出減もありマイナスとなった。輸入は自動車、機械、テキスタイルが伸びた。

経済活動別にみると、水産業で大きく伸びた(表2参照)。これは主にアンチョビやイワシの漁獲量の増加と、サーモンの養殖量が増えたこと、製造業の食品部門では魚加工、魚油、小麦が伸び、5.0%増となった。鉱業は下半期に活動が活発となったが、第1四半期に起きた主要鉱山でのストライキによる採掘減が響き、通年で2.0%減だった。

表2 経済活動別実質GDP成長率〔前年(同期)比〕

2018年は3.0~4.0%の見通し

中央銀行が3月21日に発表した資料によると、2018年の実質GDP成長率は3.0~4.0%、2019年は3.25~4.25%の予想となっている。今回の発表を受け、フェリペ・ラライン財務相は「過去4年間の平均1.7%のGDP成長率は非常に乏しい結果で、経済危機も景気後退もなかったが、経済成長に急ブレーキがかかってしまった」と前政権の経済政策についてコメントした上で、2018年に目標とする「3.5%」の達成に向け、現実性と楽観論を踏まえつつ、責任を持って取り組むとした。

(岡戸美澪)

(チリ)

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