ダナン・ハイテクパークに対する優遇措置を定めた政令が施行

(ベトナム)

ハノイ発

2018年04月16日

ベトナム政府は、中部・ダナン市のダナン・ハイテクパーク(以下、ハイテクパーク)に対する優遇政策を規定した政令04/2018/ND-CPを打ち出した。

法人税、土地リース料などで魅力的な優遇措置に

同政令によると、製造業でハイテクパークに進出する場合、新規投資プロジェクトを実施する企業は法人税として優遇税率10%が15年間(大規模投資の場合は30年間)適用され、4年間の法人税免除とその後9年間は5%という税率が適用されるなど、さまざまな優遇措置がある(添付資料参照)。

中でも、通常の工業団地と比べての最大の魅力は、国に支払う土地リース料の免除だ。一般に、工業団地における土地のリースは、工業団地開発会社が国から土地のリースを受け、土地を造成しインフラを整備した上で、入居企業にサブリースするかたちを取る。入居企業からみれば、工業団地開発業者から土地のリースを受けているが、もともとは、国からリースを受けている土地であるため、国への土地リース料が発生する。この土地リース料は、工業団地との契約により、入居企業による負担となる場合が多い。

免除がない場合の土地リース料(注)は、年間1平方メートル当たり0.31ドル(一括払いの場合)、もしくは0.45ドル(年払いの場合)だ。仮に一括払いで50年間の土地リースを受けた場合、土地リース料は1平方メートル当たり15.5ドルで、これが全期間免除されることはコスト面で大きなメリットだ。

入居にはハイテク認定が必要

ハイテクパークに製造業として進出するには、政府決定66/2014/QD-TTg、政府決定13/2017/QD-TTgに基づき、投資プロジェクトにおける技術・製品がハイテクであると認められ、また、同プロジェクトが科学技術省決定27/2006/QD-BKHCNに基づいて、研究開発などに関する指標を満たすことも必要だ。認定・審査手続きは、ダナン市人民委員会や大学教授などからなる評価委員会が行う。ハイテクパーク管理委員会によると、書類が整っていれば、1週間程度で完了するケースもあるという。

労働者確保に向けた環境整備に進捗

政令04/2018/ND-CPでは、国、ダナン市の予算を活用し、2020年までの早期にインフラへの投資を完了させることが目指されている。現在、特にハイテクパーク周辺には住宅地が少ないため、労働者を集めやすい環境の整備が重要だ。ハイテクパークからダナン市街地までをショートカットする道路が建設中で、2018年4月ごろに完成が予定され、ダナン市街地からの所要時間は現在の約40分から約25分に短縮される見込みだ。また、ハイテクパーク内には居住エリアも計画され、さらには、ハイテクパークに隣接するかたちでダナン市が労働者向けのアパートを建設する計画もある。

写真 (写真左)パーク内の幹線道路は整備済み、(写真右)奥の建物は日系企業による工場(ジェトロ撮影)

ダナン・ハイテクパークは、2010年設立。ハノイ市のホアラック・ハイテクパーク(1998年設立)、ホーチミン市のサイゴン・ハイテクパーク(2002年設立)に続く、国内で3番目のハイテクパーク。ダナン市街地から北西へ22キロ、車で約40分の距離にある。総面積は約1,130ヘクタールで、ハイテク生産エリア、研究開発エリア、行政エリアなどから構成。現在までに10件、2億5,000万ドルの投資プロジェクトが認可を取得し、うち日系企業による2件が既に稼働している。

(注)現在、同土地リース料は見直し中で、今後改定される可能性がある。

(北嶋誠士)

(ベトナム)

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