東部経済回廊の大型インフラ開発、年内に契約完了

(タイ)

アジア大洋州課、企画部地域推進班、バンコク発

2018年04月24日

東部経済回廊(EEC)事務局のカニット事務局長は、タイ政府主催のシンポジウム(注1)にて「EECを国際社会へのゲートウエーとする。そのため、デジタル化の推進、重点産業の投資奨励、国内インフラ整備、観光開発を通じ、2017~2022年で、総額1兆7,000億バーツ(約5兆9,500億円、1バーツ=約3.5円)の投資を呼び込む」と説明した(注2)。

同局長によれば、EEC開発事業に対する恩典や、規制緩和、基金拠出の根拠となるEEC法案は立法評議会で可決され、施行へ向け最終調整段階にある(2018年3月時点)。特に、EEC法は以下実現のため重要だ。

  1. 首相を委員長し、14人の閣僚を委員とするEEC管理委員会の設置
  2. 常設EECオフィスの設立
  3. インフラ整備に関するEEC事務局の権限強化(注3)

また、カニット事務局長は、「EECへの投資額は、2016年の2,000億バーツから、2017年は3,000億バーツへ拡大した。具体的な投資計画を有する企業は、BOIに相談してほしい」と説明した。

なお、EEC域内では現在、31の工業団地が運営されているが、EEC事務局は内21の工業団地を「EECプロモ―ジョン工業団地」に指定し、重点産業の投資を推奨している。同21の工業団地では、138.8平方キロ(1兆3,000億バーツ相当の投資に対応)の入居地が残されているという。

先行インフラ開発は、2018年中にPPP契約完了

タイ政府は、EEC域内のインフラ計画のうち、バンコクとEECを結ぶ高速鉄道の敷設など、官民連携(PPP)5件に関し、2018年中に民間事業者と契約を完了し、2019年に着工する計画だ(別添資料の図参照)(注4)

  1. 主要3国際空港を連結する高速鉄道の建設
  2. ウタパオ空港の拡張・増設
  3. レムチャバン港 第3期開発
  4. 航空機整備(MRO)センター設立
  5. マプタプット港 第3期開発

(注1)タイ政府が2018年3月19日、バンコクにて開催した「タイ~新たな次元へ飛躍」シンポジウム。

(注2)タイ政府が推進する重点産業とは、次世代自動車、スマートエレクトロニクス、メディカル&ウエルネスツーリズム、農業・バイオテクノロジー、食品関連、ロボティクス、航空、バイオ燃料、バイオ化学、デジタルメディカルハブ。

(注3)特に、関連官庁と調整し、革新的な新事業を育成する際に、規制を一時的に停止する規制緩和策(サンドボックス)の整備が期待されている。

(注4)従来、PPPで事業を実施する場合、「2013年共同投資法」に基づき、事業準備・提案、事業者選定、契約署名に至る過程に最短約20カ月を要していた。しかし、EEC域内で認められたPPP事業については、行政手続きの迅速化スキーム(EECトラック)により、最短8~10カ月での契約署名が可能となった。

(伊藤博敏、阿部桂三)

(タイ)

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