米韓FTA再交渉合意で一定の成果も-2018年外国貿易障壁報告書(韓国編)-

(米国、韓国)

米州課

2018年04月06日

米通商代表部(USTR)が発表した2018年版外国貿易障壁報告書(NTE)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます で、韓国に関する記述は13ページで、前年から1ページ減った。2018年3月に合意した米韓FTA見直しで、米国側の関心が高い対韓自動車輸出、製薬輸出などで一定の成果を得たことに触れつつも、化学物質の基準認証制度や農産物の輸入制限など引き続き多くの課題を指摘している。なお、米韓FTA最終合意の際に韓国側が同意したといわれている為替操作禁止措置については、報告書の中では触れられていない。

米国安全基準適合車の韓国向け輸出枠を倍増

報告書では、まず2012年3月15日に発効した米韓FTAについて触れ、2017年の韓国への工業製品輸出はFTA発効前の水準を13.5%上回ったものの、2017年の韓国の対米工業製品輸出は25.8%増加していることに言及。貿易不均衡是正のため、米国側が2017年7月に米韓FTAの見直しを韓国側に求めて再交渉が行われ、2018年3月27日に合意が成立した経緯を紹介している。そして報告書は改定FTA合意により、米国安全基準適合車の韓国向け輸出枠を倍増させる約束を韓国から取り付けたこと、米韓両国での自動車試験基準を整合させること、韓国側の排出基準を緩和させることなど一定の成果があったことを紹介している。また医薬品については、韓国保健福祉部が2016年7月に策定した薬価設定制度が差別的として米国がその改善を求め、韓国側が国内法の改正を約束した点などに触れている。

新たにリンゴとナシの市場開放迫る

一方、2018年も貿易の技術的障壁(TBT)の最初で、2015年に施行された韓国側の化学物質の登録および評価(K-REACH)に関する法律を取り上げた。これは少量で製造・輸入される化学物質についても、有害情報の提出を含む登録を要求するもので、米国やEUでは登録免除ないし簡易な登録で済むもの。事業者への過重な負担となるとして改善を求めた。

また、2018年の報告書では果実市場へのアクセスが新たに盛り込まれ、現在韓国が植物検疫を理由に輸入を禁止しているリンゴとナシの市場開放を迫った。他方、2012年以降、韓国は米国北西部からのジャガイモの輸入を、病害「ゼブラ・チップ」への懸念から禁止していたが、2018年の出荷シーズンから輸入を再開することで両国は合意している。

(木村誠)

(米国、韓国)

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