NZ向け自動車RORO船の再入港始まる

(ニュージーランド)

オークランド発

2018年04月02日

2018年2月、ニュージーランドに向かった日本の自動車運搬船(RORO船)から大量のクサギカメムシが発見され、船の入港が拒否される事態が発生した。その後、害虫駆除を終えた船は入港を再開したが、今後も害虫対策や付着原因についての検証が必要だ。

クサギカメムシの駆除は引き続き必要

2018年2月初旬、日本からのRORO船からクサギカメムシが大量に発見された(2018年2月22日記事参照)。その結果、3隻の船舶が入港できずに国外退去を命ぜられ、他の1隻が自主的に入港を取りやめた。当時、これら4隻の船は「ハイリスク船」と指定され、ニュージーランド国外での害虫駆除を行うことを余儀なくされた。

現地の港湾関係者によると、このうち2隻はその後害虫駆除を終え、既にオークランドに再入港し、荷降ろしも終えているという。他の船も順次、再入港に向けて準備をしているようだ。ただ、今後シンガポールに戻り、必要処理を受け、4月の再入港を待っている船もあるという。

他方、検査でクサギカメムシが発見されなかった船は、オークランド港への入港・荷降ろしができている。しかし、これらの船も、運航スケジュールが平常化するには、しばらく時間がかかると見込まれている。

ニュージーランド政府が対策を推奨、原因分析も

ニュージーランド第一次産業省(MPI)は2月23日、日本からの自動車輸入に際し、殺虫剤の事前塗布・散布を推奨する通達を公表した(注)。特に、日本車に付着したクサギカメムシが日本出航時に冬眠している場合は、その後船が赤道を越え、暖かい地域に入り、活動を開始する可能性もある。こうした場合は注意が必要だ。なぜなら、クサギカメムシの呼吸が浅い冬眠時(出航時)に日本で薬剤散布をしても、その有効性は不明だからだ。クサギカメムシを完全に駆除するには、臭化メチルかフッ化スルフリルによる薫蒸処理、または熱処理のいずれかが必要とされている。そのため現在、オークランド港では、荷卸しされた自動車への熱処理も一部行われている。

他方、クサギカメムシが、日本の自動車にどの段階で付着したかについては、引き続き検証が必要だ。現地の輸入自動車産業協会(VIA)のデビット・ビンセン会長は「2月以降、自動車輸入が停滞したほか、荷降ろしされた自動車の検査や害虫対策など固定費が発生している。現地の自動車販売ディーラーを含め、関係者に広く影響が出ている」と述べた。

一般的に、クサギカメムシの発生期間は、9月から4月までとされている。2018年も、9月以降に向けて、MPIをはじめとする関係機関が具体的な対策構築を検討していく必要がある。

(注)推奨されている殺虫剤は、ビフェントリン、シフェノトリン、ペルメトリン、シラフルオフェンのいずれかだ。

(奥貴史)

(ニュージーランド)

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