サウジアラビアに映画館がオープン

(サウジアラビア)

リヤド発

2018年04月20日

4月18日、30数年ぶりにサウジアラビアに映画館がオープンした。場所は開発が進むリヤド市内北部のアブドゥッラー金融地区(KAFD)の一角。初上映となった作品は、「ブラックパンサー」だった。アニメの配信や同国で開催されたコミコンなどでいち早くそのブランドを築いてきたマーベル・スタジオ製作の映画だ。

当日は、政府関係者や外交団を中心とした招待客のみが対象で、映画館周辺に厳しい規制が敷かれていたこともあり、内部の様子をうかがい知ることはできなかったが、SNS(ツイッター)には、映画館オープンを歓迎する王族のコメントや、女性も一緒に映画を鑑賞できることに対する喜びのコメントなど、現場からの好意的な投稿が多数見られた。

通常、サウジアラビアのレストラン、学校、銀行窓口など公共の場では、男女別にセクションが分けられているが、オープン当日は男女が同じ空間で映画上映を楽しんだという。ただし、今後も完全に男女同席可能となるかは未定。報道によると、一般客向けの鑑賞開始は5月以降の見込み。

今回の映画館オープンは、政府系ファンドである公的投資基金(PIF)傘下のエンターテインメント開発投資会社(DIEC)と米国エンターテインメント会社AMCとの合弁事業によるもの。PIFの発表によると、PIFとAMCは今後5年で新たに約30~40カ所の映画館を開館することで合意している。このプロジェクトはムハンマド・ビン・サルマン皇太子のイニシアチブの下で進められている国家改革戦略「サウジ・ビジョン2030」の柱の1つである「活力に満ちた社会」の実現を目指すもの。

同皇太子は3月下旬から4月上旬にわたる米国訪問で、滞在中にワーナー・ブラザーズ会長、ウォルト・ディズニー会長らと相次いで会談したと報じられている。映画館のみならず、PIFは米大手の遊園地運営会社シックス・フラッグス・エンターテインメントともテーマパーク建設で合意している。

(柴田美穂)

(サウジアラビア)

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