米国による鉄鋼とアルミ関税賦課への対抗措置を検討

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年04月05日

工業商務省のビクトル・エブトゥホフ官房長官兼次官は4月3日、米国政府による鉄鋼とアルミニウムへの関税賦課に対抗する措置の検討を開始したことを明らかにした。

米国のトランプ大統領は3月8日、1962年通商拡大法232条に基づき鉄鋼とアルミニウムに追加関税の賦課を命じる大統領布告に署名。同国の税関国境保護局(CBP)は3月23日、関税の徴収を開始している(2018年3月27日記事参照)。ロシア産の鉄鋼製品にも25%、アルミニウム製品には10%の関税が追加で賦課されている。エブトゥホフ次官は対抗措置の検討期間について具体的には名言しなかったものの、「短期間で」と述べており、WTOへの提訴に加え、米国側の措置とバランスの取れた対抗措置を個別に判断して実行すると述べた(タス通信4月3日)。

ロシア鉄鋼大手が米国国際貿易裁判所に提訴

一方で、ロシアの鉄鋼大手セベルスタリの米国子会社「セベルスタリ・エクスポート・マイアミ」は3月23日、米国国際貿易裁判所に同措置の差し止め命令を求め米国政府を相手に提訴している。訴状によると、同社が関税の支払い義務を負う鉄鋼製品は海上で輸入手続きを待つ状態にあるが、追加関税を負担する十分な資金がなく、倒産の可能性があるという(アメリカン・メタル・マーケット3月23日)。年単位で時間がかかるWTO協定に基づく紛争解決よりも、迅速な米国裁判所の法的救済措置を求めている。

(高橋淳)

(ロシア)

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