為替政策報告書、引き続き中国や日本を監視対象国に

(米国)

ニューヨーク発

2018年04月18日

財務省は4月13日、2018年上半期の「米国の主要貿易相手のマクロ経済と為替政策(Macroeconomic and Foreign Exchange Policies of Major Trading Partners of the United States)」報告書(為替政策報告書)を公表した。同報告書によると、2017年後半以降に為替操作を行っていたと認定される国(為替操作国)は、前回の報告書(2017年10月公表)と同様になかったと報告した。

同報告書は、米国の主要貿易相手国が対ドル為替レート操作によって国際収支の調整過程を阻害し、不当な貿易利益を得ていないか、などについて調査・検討を行うもので、財務省が半期(4、10月)ごとに報告書を作成し、議会に提出する。

為替操作国の認定を行うに当たっては、(1)大幅な対米貿易黒字(対米貿易黒字額が年間200億ドル以上)、(2)実質的な経常収支黒字(経常収支黒字額がGDP比3%以上)、(3)持続的で一方的な為替介入(過去12カ月間の介入総額がGDP比2%以上)の3つの基準が検討される。

今回の報告書では、前回と同様に、3つの基準を全て満たした国はなかったが、前回も取り上げられた中国、日本、韓国、ドイツ、スイスに加えて、新たに追加されたインドの計6つの国が、監視リストに挙げられた。日本、韓国、ドイツは(1)と(2)、スイスは(2)と(3)と、引き続き3つの基準のうち2つをそれぞれ満たしていたことから、前回と同様監視対象とされた。報告書では、日本について「米国と日本の間に大きな貿易不均衡が存在することを懸念している」とされた。

中国については前回と同様に(1)のみを満たしていたが、対米貿易赤字において巨大かつ不均衡な割合を占めると米国が判断したことから、引き続き監視対象とされた。報告書では、「2国間の貿易不均衡是正に前進がみられないことに強い懸念」が表明されるとともに、中国が「米国の労働者と企業に対して、より公平で相互主義的な機会を創出することを求めている」と指摘した。

インドについては、対象となる期間(2017年後半)において、(1)と(3)を満たしていたことから、今回新たに監視対象とされた。

(権田直)

(米国)

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