アマゾンが自家用車への配送サービスを開始

(米国)

ニューヨーク発

2018年04月25日

インターネット通販大手のアマゾンは4月24日、同社の有料会員向けに、配送品を顧客の自動車の車中に配達するサービス「アマゾン・キー・イン・カー」を開始したと発表した。

GMとボルボ車を対象に、まずは37都市で展開

配達先として利用できる車両は、ゼネラルモーターズ(GM)の4ブランド(シボレー、ビューイック、GMC、キャデラック)と、ボルボ車。ただし、GM車にはテレマティクスシステム(注)「オン・スター」、ボルボ車には同「オン・コール」が搭載されていることが条件だ。両社によると、利用対象者は、GM車所有者の700万人以上、ボルボ車所有者の大多数に上るという。新サービスを利用できるエリアは、アトランタ、デトロイト、フィラデルフィア、サンフランシスコ(ベイエリア)など大都市を中心とした37都市で、今後も拡大する予定だ。

利用に当たっては、まず車両に搭載されたこれらのシステムに、アマゾンの有料サービス「アマゾンプライム」のアカウントをリンクさせ、配送先である駐車位置を指定し、配達員によるロックの開錠を許可する。その後配送が終了し、車両が施錠されると、配達完了通知を受け取るという仕組みだ。

米国では、利用者が不在の際、玄関前に留め置かれた配送品の盗難がしばしば問題となっている。アマゾンの配送技術担当バイスプレジデントのピーター・ラーセン氏は、「また1つ、便利で安全な配送手段を利用することができる」と述べる。同社は既に配達先の玄関ドアを開錠するサービス「アマゾン・キー」を展開している。

北米GMのアラン・ベイティ社長は「新たなテクノロジーの利用で、さらに顧客に付加価値を与えることができる」と顧客の反応に期待する。また、既に同サービスを欧州の一部で展開しているボルボの、アティフ・ラフィク主任デジタルオフィサーは「自動車の商取引への利用は、次のイノベーションの波の始まりだ。われわれはこうした分野で最先端を狙う」と、米国での展開に自信を示した。

(注)乗用車などの移動体にインターネット通信を利用した各種情報サービスを提供するシステム。

(大原典子)

(米国)

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