フォード、2021年に自動運転を大規模展開

(米国)

シカゴ発

2018年04月24日

米フォードのグローバル市場担当プレジデント、ジム・ファーリー氏は、「フィナンシャル・タイムズ」紙(電子版4月15日)のインタビューで、「2021年に自動運転タクシーを大規模(“at scale”)展開する」と発言した。

フォードは以前から2021年の自動運転車サービスの本格投入を目標としている。2017年9月からは本社のあるミシガン州アナーバーで、宅配ピザ大手のドミノ・ピザとタイアップし、ドライバーが乗車した自動運転車によるピザ宅配実験を行っている。自動運転車の公道走行実験自体は、以前からゼネラルモーターズ(GM)やグーグル関連企業の自動運転開発企業Waymo、ライドシェアの配車アプリ大手ウーバー(Uber)などが、ミシガン州、カリフォルニア州、アリゾナ州やペンシルベニア州など各地で実施されており目新しいものではない。

フォードによれば、この実験の主目的は自動走行のテストではなく、消費者が自動運転車に対してどのような反応を示すかを把握し、将来的に自動運転車を実生活の中でどうビジネス化するか、どのようなインターフェースが最適かをテストすることにある。2018年2月27日にはフロリダ州マイアミにもドミノ・ピザの自動運転車によるデリバリーを拡大すると発表しており、今回のファーリー氏による発言は、これらの事業を2021年に本格展開する意向を示したものといえよう。

フォードが目指すビジネスモデルは、消費者に自動運転車の運用によって都市インフラと連動した「モビリティー・サービス」を提供することだ。同社は2016年にサンフランシスコで通勤用バンのライドシェアを手掛けるベンチャー企業チャリオットを買収・事業拡大しており、自動運転だけでなく幅広いモビリティー・サービスの提供を目指してきている。ライバルのGMが一足早い2019年の自動運転車市場投入を予定しているのに対し、フォードは都市計画まで踏み込んで自動運転技術を導入していくには一定の準備期間が必要だと考える。

(河内章)

(米国)

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