ブロックチェーン技術などの導入・交流を推進

(ロシア、中国)

モスクワ発

2018年04月20日

ロシアが中国からのブロックチェーン(注)技術などの導入に積極的に動いている。

ロシア極東発展基金のアレクセイ・チェクンコフ総裁が4月8~11日に中国で開催されたボアオ・アジア・フォーラムに出席、9日に中国のブロックチェーン技術開発企業と、同技術を基盤とした共同プロジェクト実施に関する協力覚書を締結した。締結先は太一雲科技で、同社はサプライチェーン、電力インフラ、医療情報の管理やフィンテックに応用するブロックチェーン技術を開発する。

チェクンコフ総裁は、極東地域に豊富に存在する天然資源の供給管理へのブロックチェーン技術の活用に関心を示した。その一例として、同基金の協力の下、シンガポールの投資ファンドであるディアムンディが開発する、ダイヤモンドを価値の裏付けとするデジタル通貨「D1」の流通への応用を挙げた。ロシアのダイヤモンド生産最大手アルロサが産出するダイヤモンドがD1の原資となる。チェクンコフ総裁は、アルロサの監査委員会メンバーも務める。同基金は4月9日、ディアムンディともデジタル通貨創設に関する協力覚書を交わした。

このほか、同基金は中国交通建設とも戦略パートナーシップに関する協力覚書を締結した。合意書はウラジオストクのルースキー島での国際協力センター建設に関するもので、医療などの研究開発拠点となる。センターの設立を含む同島開発コンセプトは2017年5月にロシア政府によって承認されていた(2017年5月30日付連邦政府指示第1134-r号)。同基金発表(4月10日)によると、ルースキー島開発の意思表明をしている中国企業は、中国交通建設のほか、中国航空国際建設投資、不動産開発・物流・金融業を手掛ける盛源集団、秦皇島中民投資などが含まれている。

(注)取引などのデータをまとめた「ブロック」を、ネットワーク上の多数のコンピュータが鎖(チェーン)状に保存する方式。ブロックは暗号技術を利用し正しさが確認された上で台帳として保存される。複数のコンピュータ上に台帳が保存されるため、「分散台帳」とも呼ばれる。

(タギール・フジヤトフ)

(ロシア、中国)

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