外国企業の投資手続きを改定、一部で緩和

(インドネシア)

ジャカルタ発

2018年04月09日

インドネシア投資調整庁(BKPM)は2018年1月1日から、外資企業に対する新たな投資手続き規定を導入した。新規定では、設立後15年以内に株式の一部をインドネシア側に譲渡する義務(ダイベストメント義務)を条件付きで撤廃するなど、手続きが緩和された。2月28日に開催された日系企業向け説明会では、新たな規定内容や手続きについての解説があった。

ビジネスの加速を狙いとした改定

BKPMは2017年12月4日付で、投資手続きに関するBKPM規定2017年第13号(以下、規定第13号)および2017年第14号(以下、規定第14号)を制定し、いずれも2018年1月1日に施行した。規定第13号では、従来複数に分かれていた投資手続き規定を統合したもので、現地法人および駐在員事務所などについての許認可手続き、各種優遇措置の申請手続きなどを定めた。規定第14号では、投資に関する許認可・投資報告におけるオンラインシステムの導入と報告違反などの罰則などを規定した。今回の改定は、2017年9月に制定された「ビジネス実施加速化に関する大統領規定2017年第91号」に基づくもので、外資企業による投資手続きの迅速化を趣旨としている。

本規定に関して、ジェトロ、国際協力機構(JICA)-BKPMジャパンデスク、ジャカルタ・ジャパン・クラブは2月28日、日系企業向け説明会を実施した。説明会には、BKPMからファラ・インドライニ長官代理、レスタリ・インダ長官代理、アズハル・ルビス長官代理の3人が登壇し、新規定について解説した。本会合には約180社の日系企業関係者が参加した。

条件付きでダイベストメント義務を撤廃

外資企業には、「設立後15年以内に株式の一部をインドネシア法人あるいは個人に譲渡すること(ダイベストメント義務)」が課されていた(1994年政令第20号第7条)。これは、2007年4月26日に新投資法施行により撤廃されたものの、それ以前に設立された会社は、引き続きダイベストメント義務の対象とされてきた。

しかし、今回の規定第13号において、株主総会で以下を決議する場合、ダイベストメント義務が撤廃された(第16条)。

(a)合弁会社の場合、インドネシア側が株式保有を要望しない旨を表明する。

(b)外国出資100%会社の場合、株主がいずれのインドネシア側とも株式売却についてのコミットメントや契約を行っていない。

ただし、後日、インドネシア側から株式保有を要望があった場合は、株主および会社の責任となる。

日系企業向け説明会ではBKPMから、2007年の新投資法以前に設立された会社などで、事業許可にダイベストメント義務が記載されている場合、上記(a)もしくは(b)が記載された株主総会の議事録をBKPMに提出することで、同義務を免れるという説明があった。

今回、規定第13号第15条ではベンチャーキャピタル(PMV)による出資についても定められた。PMVによる出資は、外国資本が含まれる場合でも、国内出資として分類される。BKPMが説明会で明らかにしたところによると、PMVによる投資は、外資と内資の資本比率を既定するネガティブリストの対象外となるという。ただし、PMVによる出資期間は、法務人権省が出資を承認してから最長10年間とし、同期間を過ぎると株式を他社に譲渡する必要がある。なお、説明会では「インドネシア国内に拠点がないベンチャーキャピタル会社でも、同社がベンチャーキャピタルであることを示す書類があれば、インドネシア国内企業への出資はネガティブリストの対象外とする」という発言があった。今後、実際に発言どおりの運用がされるのであれば、以前より多様な分野への投資が可能なると期待される。

参考資料:BKPM規定2017年第13号(日本語仮訳PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)原文PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))、BKPM規定2017年第14号(英文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます原文PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)

(山城武伸)

(インドネシア)

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