バルト3国縦断鉄道計画の詳細発表

(エストニア、ラトビア、リトアニア)

ワルシャワ発

2018年04月23日

レール・バルティカ グローバルフォーラム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が4月10~11日にエストニアの首都タリンで開催された。レール・バルティカとはポーランド国境までバルト3国を南北に縦断する鉄道計画で、将来的にはポーランドを経由してドイツなど欧州主要国の鉄道との接続を目指す大規模プロジェクトだ(添付資料参照)。

2回目の開催となる同フォーラムには、エストニアのユリ・ラタス首相やペトリ・サルバマア欧州議会予算委員会副委員長、バルト3国の関係大臣なども参加。また、インフラ建設の関係者への調達情報の提供や交流を目的としたイベント「サプライヤーズ・デー」には、24カ国から300社が参加した。

同プロジェクトは既存の交通・物流手段と比較して排出ガス削減や効率性の改善だけでなく、雇用創出や安全性向上、周辺産業の発展などの経済効果が162億ユーロに上るとされる。総建設費は58億ユーロと見積もられ、うち85%は2014~2020年のEU中期予算枠組みの補助金で賄われることが決まっている。サルバマア欧州議会予算委員会副委員長も、レール・バルティカを含め、汎(はん)欧州運輸ネットワーク(TEN-T)の一部である「北海-バルト海回廊」の重要性を指摘した。

2026年の完成を予定

2010年に計画が始まった同プロジェクトは2017年から設計段階にあり、「サプライヤーズ・デー」では設計ガイドラインや区間ごとの橋の数や速度制限など仕様の詳細が説明された。2018年には調査を含む42件の入札を予定し、設計については複数区間に分けて入札が実施され(注1)、設計の2回目の入札はエストニアとリトアニアで4月10日に公示され、ラトビアでは4月中の公示を予定している。

また、同鉄道計画のほとんどの区間が新たに建設されることから、システムの中央集中管理や自動運転、遠隔でのエネルギー管理といった最新技術の導入が期待されている。最後のセッションではBIM技術(注2)を活用したシミュレーションが公表され、レール・バルティカ計画での同技術の活用について説明が行われた。

同プロジェクトは、一部地域での資金調達など懸念事項もあるが2019年には建設を開始し、2026年の完成を予定している。

写真 各国関係者によるパネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影 )

(注1)一部の設計入札は既に終了。

(注2)BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)技術は、建築で設計から施工、管理を通して蓄積されたデータを一括管理・活用することで、建築の効率化を目指す技術。詳細はハンドブック外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(小松理恵)

(エストニア、ラトビア、リトアニア)

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