東南アジアの投資・輸送・観光ハブへ

(タイ)

アジア大洋州課、企画部地域推進班、バンコク発

2018年04月20日

タイ投資委員会(BOI)はこのほど、日本を含む国内外の投資家向けシンポジウムを開催した。タイのソムキット・チャトゥシーピタック副首相は基調講演で、東部経済回廊(EEC)の整備など、国内インフラ開発の推進に向けて強い決意を示した。なお参加者は、企業、政府機関、メディアなど3,000人余りとなった。

世界経済を牽引するアジアとタイ

同シンポジウムにてソムキット副首相は、過去1年の間に(1)タイの経済が好転し、企業の投資意欲が拡大したこと、(2)国内政治が一層安定し、経済改革に向けた機運が高まったこと、(3)アジアを中心とした経済連携の促進で、その核となるASEANやタイが果たす役割が重要になっていることを強調した(注)。

また副首相は、昨今アジアで注目される動きとして、中国の「一帯一路」構想によって建設されるインフラ開発、および日本が主導した「包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP、いわゆるTPP11)」署名の2つを挙げ、アジア発のこうした動きが、世界経済の新たな秩序を形成していると発言した。

今後は、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)や、インド・パシフィック経済圏など、新たな経済構想に対する各国の取り組みが、世界経済の発展を牽引するとの見解を述べた。

大型インフラ計画、EEC開発、デジタルが柱

ソムキット副首相は、「タイ経済の回復基調を背景に、最新の投資奨励策を以て、新たな目標を目指す時だ。国内経済の高度化を促し、タイを東南アジアの投資・輸送・観光ハブに転換させる」と意気込んだ。最新の投資奨励策の対象事業は、国内大型インフラ開発計画、EEC開発、社会のデジタル化推進事業が含まれる(概要は添付資料参照)。

副首相は、これらの事業について、「今後2年間で具現化し、3~4年間で着実な構造転換を果たす」ことを約束した。

なお、このシンポジウムはタイ政府が2018年3月19日、バンコクにて開催した「タイ~新たな次元へ飛躍」。

(注)タイ経済の回復と投資意欲の回復について、副首相によると、(1)経済成長率が2015年の2.8%から、2017年第4四半期は4%まで回復、(2)海外からの投資額が、2015年の2,000億バーツ(約6,800億円、1バーツ=約3.4円)から2017年には6,000億バーツへ拡大、(3)EEC向け投資額が約3,000億バーツに達した。

(伊藤博敏、長谷場純一郎)

(タイ)

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