デジタル貿易に関する規制増加などを問題視-USTRが2018年「外国貿易障壁報告書」発表-

(米国)

ニューヨーク発

2018年04月04日

米通商代表部(USTR)は3月30日、米国の貿易・投資・サービスに対する障壁を国別に示した2018年版「外国貿易障壁報告書(NTE)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表した。ライトハイザーUSTR代表は「米国人への公平な扱いを確保するため、取り得る全ての手段を行使する」と述べた。

2018年版のNTEは64カ国・地域が対象になっている。内訳をみると、EU(47ページ)以外では、インドネシア(22ページ)、中国(19ページ)、インド(18ページ)などに関する記述が多い。インドネシアに関しては、後述のデジタル貿易に関する規制のほか、輸入ライセンス規則や輸入許可などさまざまな貿易・投資規則が導入されており、事業環境の不透明性やリスクが高まっているとした。中国に関しては技術移転を目的とした政府介入が行われているとして、1974年通商法301条に基づく対中制裁措置の発動をトランプ大統領が3月22日に指示(2018年3月23日記事参照)したことなどを記載している。

WTOの場でルール形成に取り組む

USTRはNTEの本文とは別にデジタル貿易に関するファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表し、国境を越えたデータ移動の自由やクラウドサービスの事業展開を妨げる法律や規制の増加に警鐘を鳴らしている。国別では、中国について、サイバーセキュリティー法によるデータの国内保存義務やクラウドコンピューティングサービスへの投資規制などを問題視している。また、データの国内保存義務に関しては、インドネシアやロシア、トルコ、ナイジェリアの規制も記載しており、ベトナムでも同種の規制の導入が検討されているとしている。

そのほか、インドネシアに関しては、「音楽・書籍・モバイルアプリのデジタル配信に関税をかけることを検討しているとの報道がある」と警戒感を示した。2017年12月のWTO閣僚会合(MC11)で日本やEUを含む70カ国との間で設置が合意PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)された電子商取引に関する議論の場において、デジタル貿易への規制に対応するルール形成に取り組むとしている。

(鈴木敦)

(米国)

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