BMWi調査、中小・中堅企業はイノベーション創出に積極的

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2018年04月25日

連邦経済エネルギー省(BMWi)は、同省が実施する技術開発支援政策がどのように活用されているかなどの動向をまとめた調査を発表した(4月9日)。BMWiでは、中小・中堅企業およびこれらの企業と協力する研究機関に資金を提供する「中小・中堅企業主要革新プログラム(Das Zentrale Innovationsprogramm Mittelstand:ZIM)」や、企業と大学などの研究グループの共同研究ならびに革新的な企業ネットワーク組織を促進する「産業共同研究支援プログラム(Industrielle Gemeinschaftsforschung:IGF)」などの枠組みを用いて研究開発プロジェクトを支援している。2012年から2017年にかけての両プログラム合わせての支援件数は約2万5,000件だった。

インダストリー4.0などの分野で活用多く

同調査によると、2つのプログラムが多く活用された分野は、インダストリー4.0、製造の自動化・デジタル化、付加製造技術や複合材料だった。また、人工知能(AI)関連技術、燃料電池技術の事例も多いという。企業が支援政策を活用する主なきっかけは、イノベーションの活用、顧客需要の変化への対応、技術標準の変更だった。

また、今回の調査対象の約3分の2の中小企業は、新たな技術トレンドを作る「トレンドセッター」、新たな技術の認知と同時にそれをより広め、浸透させていく「トレンドアクセラレーター」、浸透・確立した新しい技術に従う「トレンドユーザー」の3分類のうち、「トレンドアクセラレーター」に分類された。「トレンドユーザー」の割合はおよそ2割だった。

技術獲得に積極的に動く企業には、ニッチな市場分野で世界的なシェアを有する「隠れたチャンピオン(Hidden Champion)」と呼ばれる企業も含まれており、ドイツの多くの中小・中堅企業がイノベーションの創出に対して積極的に取り組み、新技術の獲得に早期に取り組んでいる実態が明らかになったとしている。

ペーター・アルトマイヤー連邦経済エネルギー相は、「同調査では、ドイツの中小・中堅企業が、将来的に重要になるだろう新技術に高いアンテナを張っていることが明らかになった。ドイツの経済の優位性と競争力を将来的に確保するため、BMWiとしてこれらの中小・中堅企業のイノベーション創出機能を強化し続けていく」と述べ、今後の中小企業支援を積極的に継続する姿勢を示した。

(ベアナデット・マイヤー、森悠介)

(ドイツ)

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