2017年の世界貿易量は6年ぶりの高成長-WTOが貿易統計を発表-
(世界)
国際経済課
2018年04月17日
WTOの4月12日の発表によると、2017年の世界の物品貿易量(実質物品貿易)は、前年比4.7%増で、2011年に5.4%成長を記録して以来、6年ぶりの高い伸びとなった(表1参照)。
スロートレードから脱却
2012年から2016年にかけて、世界貿易量の伸びが世界の実質GDP成長率を下回る「スロートレード」と呼ばれる現象が続いていた。2017年は、世界貿易量の伸びが世界の実質GDP成長率の1.5倍となり、スロートレードから脱却した。
アジアの貿易成長が寄与
世界貿易の高成長の主要因は、世界経済の成長加速だ。特に、米国などにおける投資の成長、日本に代表される消費の増加、商品価格の上昇を通じた、資源国経済の輸入需要増や米国のシェール・オイルなどエネルギー産業への投資増などが寄与した。
地域別では、特にアジアが寄与し、2017年の世界全体の輸出量の伸びの51%、輸入量の伸びの60%はアジアの貿易量成長によって説明できる。
金額ベースの2017年の世界貿易は3年ぶりのプラス成長
金額ベースでみた2017年の世界の物品貿易(名目貿易)は、輸出が前年比10.7%増の17兆1,980億ドル、輸入が10.7%増の17兆5,720億ドルとなり、3年ぶりにプラス成長に転じた(表2参照)。輸出・輸入ともに2016年から上位3カ国に変動はなく、輸出は1位が中国、2位が米国、3位がドイツ、輸入は1位が米国、2位が中国、3位がドイツとなった。
貿易制限的措置の激化が今後の懸念材料
WTOの予測によると、2018年の世界の物品貿易数量は前年比4.4%増、2019年は4.0%増となり、引き続き堅調に推移する見通しだ。ただ、貿易制限的政策がエスカレートした場合には、もっと低い伸びになるとしている。既に、世界の輸出注文に関する購買担当者指数(PMI)が2018年3月に落ち込むなど、影響が出始めている可能性があるという。
(明日山陽子)
(世界)
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