第1四半期のインフレ率は6.7%

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2018年04月23日

国家統計センサス局は4月12日、3月の消費者物価指数(インフレ率)が前月比2.3%になったことを発表した(表参照)。2018年第1四半期のインフレ率が前期比6.7%になった。また、前年同月比では25.4%と依然高い数値となっており、引き続き政府が解決しなければならない課題となっている。

表 アルゼンチンの項目別インフレ率

政府目標の年間インフレ率15%の達成は困難の様相

政府は、2018年のインフレ率目標として15%を掲げている。目標を達成しようするのであれば、年末までに前月比0.6%のペースまで抑え込まなければならず、複数の現地メディアはインフレ目標の達成は困難と報じている。

3月は補助金の削減による公共料金の値上げがなかったにもかかわらず、教育(13.8%)が大きく伸びたことで前月比2.3%を記録した。4月には、ガス、公共交通機関、通信料金の引き上げが見込まれており、インフレ率が下げ基調に入るのにはまだ時間を要すると報じられている。

2016年には40%近くだったインフレ率は、2017年末には24.8%まで下がり、2018年も漸減傾向が期待されていた中、2017年12月から公共料金やガソリン価格などの値上がりなどが立て続けに発表され、市民の間にも減少傾向をみせないインフレへの懸念が広まっている。現地紙「クロニスタ」(4月4日)で報じられた世論調査によると、「懸念する課題」として「インフレ率」と回答した割合が、前年まで7割台を推移していたところ、最新(3月)の調査では88%まで高まっている。

また、同調査では、「前年と比べた現在の経済情勢」についても「悪い」が60%と、「良い」(36%)を大きく上回る結果になっている。中間議会選挙が行われた2017年10月(「良い」55%、「悪い」42%)をピークに、12月以降から評価が逆転しており、現政権は先行きについては楽観視しながらも、2019年10月に行われる大統領選および議会選挙に向け対策が求められている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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