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デンマーク中銀、硬貨に続き紙幣印刷の外注を発表

(デンマーク)

デュッセルドルフ発

2018年04月06日

デンマーク国立銀行(中央銀行)は、紙幣印刷をフランス企業オバトゥール・フィドゥシワール(Oberthur Fiduciaire SAS)に外注すると発表した。紙幣印刷外注の背景には、電子取引や電子決済手段の多様化による紙幣や硬貨の需要の減少がある。同社によるデンマーク紙幣の発行は、2020年からの予定。デンマークの取り組みは、今後通貨の電子化が一層進む日本にも参考になりそうだ。

進む通貨の電子化が背景に

中銀の発表(2月21日)によると、価格、質、安全性、サプライヤー企業の社会的責任(CSR)が勘案され、外注先が決定された。同社は70カ国の年間50億枚以上の貨幣を発行している。

紙幣外注の背景には、電子決済の拡大がある。2017年12月の中銀発表の調査レポートによると、デンマークにおける店舗支払い時(オンライン決済などは除く)のカードおよび電子少額決済のアプリ「モバイルペイ(MobilePay)」利用率は、2016年時点で全体の75%超となっており、近年、紙幣や硬貨の需要の減少傾向が顕著になっている。日本の経済産業省が2017年5月に発表した報告書「フィンテックビジョンについて」によると、日本の民間消費支出に占めるデジタル決済の割合は約18%(2015年)。デンマークの上記統計とは計算方法が異なるため単純比較はできないが、デンマークにおいていかに電子決済が普及しているかがうかがえる。

中銀はコストパフォーマンスを考慮し、2014年秋に、紙幣と硬貨の発行を外部委託することを決定した。2016年5月にはフィンランド企業のミント(Mint)を、デンマーク硬貨の鋳造委託先として決定していた。

現金の廃止方針は打ち出せず

デンマークの電子決済の利用は、今後ますます拡大していくと考えられるが、政府や中銀は、現金を廃止する方針を打ち出しているわけではない。中銀によると、現金を廃止しない理由は多々あるが、その1つとして、画面上の数字ではなく、手で触れる物理的な現金を必要とする高齢者や視覚障害者などの社会的弱者への対応が必要なことを挙げている。

2月27日にジェトロが実施したインタビューで、デンマークの中規模銀行であるAL銀行のアンネッテ・ハウリット氏は、現金を廃止し、完全なキャッシュレス社会になるには、制度上においてもまだまだ時間がかかるだろうとの見解を示した。また、中銀政策アナリストのビクター・スメステッド氏は、ジェトロが同日に実施したインタビューで、法定電子通貨(CBDC)導入に関しても慎重な考えを示し、当分は自国の法定電子通貨は発行せず、現在の安定した決済システムを継続することになるだろうと述べている

(安岡美佳)

(デンマーク)

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