2国間の関係改善・強化と直接投資をトップアピール

(アルゼンチン、スペイン)

ブエノスアイレス発

2018年04月17日

アルゼンチン政府は4月10日から11日にかけて、11年ぶりにスペイン首相の訪問を受け入れ、マリアノ・ラホイ首相とマウリシオ・マクリ大統領が両国間の関係改善・強化を確認した。

スペイン首相が11年ぶりの訪問で両国関係立て直し

左派のフェルナンデス前大統領は2012年、スペインのレプソル子会社だったアルゼンチンの石油会社YPFを国有化し、2国間関係が一気に悪化。しかし、2015年に中道右派のマクリ政権が誕生し、2017年2月にマクリ大統領がスペインを訪問するなど、2国間関係の立て直しが進められていた。

約70社のスペイン企業が同行

2012年の上記国有化騒動が起きるまで、スペインからの投資はアルゼンチンにとって最大だったが、その後は投資額が減り、順位も2位にとどまっている。今回のラホイ首相の訪問には約70社のスペイン企業が同行しており、マクリ大統領はアベルティス(インフラ)、インドラ(通信)、マフレ(保険)といったスペイン大手企業との会合を行い、アルゼンチンへの投資を促した。海外からの対内直接投資の増加を喫緊の課題としている現政権にとって、今回のスペインからの官民一行の訪問は好機となった。

このほかにも、首脳会談に先立つ9日、アルゼンチンのフランシスコ・カブレラ工業生産省相、スペインのマリナ・ポンセラ商務長官をヘッドにした第2回2国間経済協力・通商委員会が開かれた。同委員会では、通商投資の強化を実現させる一環として3,500万ユーロのクレジットラインを設けることなどで合意。また、現在交渉が佳境を迎えているとされるEU・メルコスール自由貿易協定(FTA)やアルゼンチン政府が外政面の優先課題として取り組んでいるOECD加盟などについても議論された。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン、スペイン)

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