日EU・EPAフォーラムをデンマークで開催

(EU、デンマーク、日本)

欧州ロシアCIS課

2018年04月13日

デンマークのコペンハーゲンで4月12日、欧州委員会のセシリア・マルムストロム委員(通商担当)らをスピーカーに迎え、日EU経済連携協定(EPA)フォーラムが開催された。デンマーク商工会議所が主催し、欧州委、外務省、ジェトロが協力した。

マルストロム委員は講演で、欧州委が4月18日に日EU・EPAの(EU側の)最終文案を採択すると発表。日EU・EPAは、世界最大の貿易協定で、その経済性を重視しながらも、同時に、民主主義、人権、自由貿易促進を共通の価値観として持つ者同士の戦略的パートナーシップでもあると述べた。

また、貿易は対等な競争環境の下で行われるべきとし、米国政府による鉄鋼、アルミニウムの追加関税賦課措置を反例として挙げ、EUを暫定的に適用除外としたこと(2018年3月26日記事参照)は喜ばしいが、EUは恒久的に対象外になるべきであり、また日本もその対象から外れるべきだと述べた。

写真 講演するマルムストロム委員(ジェトロ撮影)

デンマークのアナス・サムエルセン外相は、貿易の信頼性と公平性を保つためのルール作りをEU、日本に米国を加えた3者が主導すべきとした。

ドイツのifo経済研究所のガブリエル・フェルベアマイヤー教授は、日EU・EPAは長期的には日本とEU加盟国の経済成長にプラスの効果をもたらし、米国にもわずかながら正の影響をもたらすとの分析結果を紹介した。

同フォーラムでは各産業分野を代表した企業も登壇し、欧州の製薬企業からは、規制の調和により、EUで認可された医薬品をより早く日本市場に投入できる枠組みへの期待が述べられた。また、情報通信分野の企業からは、デジタル化やデータの取り扱い面でも日EU間の協力体制が構築されることへの要望が挙げられた。

ドイツの食品卸売大手メトロのイフォンネ・ボロウ国際関係部長は、日本で欧州料理を提供するレストランに対し「本場」の製品を届けることへの期待に加え、ドイツでの日本食への需要増加を受け、今まで40品目しかなかった日本食品の本店での取り扱いを2018年は約70品目増やすと説明。今後日本食材が欧州市場で拡大する余地は大きいと話した。

(福井崇泰)

(EU、デンマーク、日本)

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