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ビジネスヨーロッパ、EUへの恒久的な適用除外を求める-米国の関税賦課問題に懸念募らせる欧州産業界-

(EU、米国)

ブリュッセル発

2018年03月26日

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は3月23日、米国政府による鉄鋼、アルミニウムの追加関税賦課決定について、EUに対する適用除外が認められたことを受けて,欧州委員会の取り組みを評価する声明を発表した。ただし、この適用除外はあくまで「暫定的」と捉えており、恒久的な適用除外が認められるまでは米国政府との対話・協議が必要と強調、危機感をにじませた。米国政府の措置の直接的影響を受ける欧州鉄鋼連盟(EUROFER)、欧州アルミニウム協会も相次いで声明を出し、5月1日までに中国の過剰供給問題についての解決に向けた実質的対策を欧州委員会に求めた。


恒久的な適用除外の確立まで楽観しないビジネスヨーロッパ

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は3月23日、米国のトランプ政権が鉄鋼(25%)、アルミニウム(10%)の追加関税について、2018年5月1日まで暫定的ではあるが、EUを適用除外としたことを踏まえ、欧州産業界としての声明を発表した。ビジネスヨーロッパのマルクス・バイラー事務総長は「EU企業にとっては朗報だ。これで米国政府と対話を継続できる。EUは(米国と)安全保障上の協力関係にあるほか、アンチダンピング、反不正補助金などWTO関連措置を講じることで、(中国の)過剰供給の問題に対峙(たいじ)する姿勢を取っており、追加関税の適用除外を正当化する全ての基準を満たしている。このため、今後も含めてEUに対する適用除外継続を否定する積極的事由はないと考える。こうしたメッセージを送り続けた、欧州委およびEU加盟国の取り組みを評価する」とコメントした。

ただし、バイラー事務総長は「現時点で、EUに恒久的な適用除外が認められる保証はなく、そのための条件もはっきりしない」とも付言し、危機感をにじませた。このために米国との対話の枠組み構築の重要性を強調、WTOルールの範囲でEU域内産業の権益を守るべく動く必要性を説いた。

欧州鉄鋼産業は「EUも被害者」との立場

また、欧州鉄鋼連盟(EUROFER)も3月23日、EUに対する追加関税の適用除外獲得に向けた欧州委の取り組みについて謝意を表明したが、同時に「米国政府の適用除外措置は暫定的なものにすぎない」と危機感を募らせる。同連盟のアクセル・エガート会長は「5月1日までに、実質的な譲歩を(EUとして)示した場合に限り、トランプ大統領は追加関税適用除外の延長に応ずるというリスクがある」と指摘、「次の一手」の必要性を訴えた。具体的には、EUROFERとしては「EU鉄鋼市場の安定を確かなものにするためのセーフガード措置を進めるべきだ」と主張している。

ただ、EUを含めて今回、追加関税を免れた国・地域も、最終的には1962年通商拡大法232条に基づく関税適用の影響が及ぶ可能性があるほか、こうした措置の影響で、「打撃を伴うかたちで、貿易がゆがめられるリスクは高い」と述べ、事態は予断を許さない状況との認識を示した。

EUROFERには「(今回の通商問題の)根本原因は中国の鉄鋼産業が生み出した過剰供給にある」(2018年3月9日記事参照)との意識が強く、エガート会長は今回の声明でも「欧州の鉄鋼産業界は外生的事情に誘発された危機(「exogenously-induced crisis」)の10年を通して停滞が著しい」と述べていることからも、EU側はあくまで被害者との立場を貫いていることが読み取れる。また、欧州市場が回復しつつある現状を踏まえて、「米国市場に輸出できなくなった鉄鋼がEUに流入することで、せっかくの市況回復が危機にさらされる事態を看過することはできない」と指摘、迅速なセーフガード措置発動を欧州委に求めている。さらに2017年にEUは4,000万トンと、米国(3,500万トン)以上に鉄鋼を域外から輸入している実態にも言及し、適用除外継続が不透明なのであれば、5月1日までに「EUと米国で長期的な視点に立って共通認識を醸成するようにすべき」との認識を示した。

幅広い業界から事態への懸念と過剰供給問題解決を求める声

欧州アルミニウム協会(EAA)は3月22日の声明で、米国政府による対EU追加関税の適用除外について「前向きだが、不確実性を払拭(ふっしょく)するには不十分な対応」と総括し、「欧州委と米国政府が中国の過剰供給問題をいかに解決するかに焦点を当てた協議・対話を継続すべきだ」との立場を打ち出した。

このほか、鉄鋼の需要産業である、欧州自動車工業会(ACEA)は3月6日に、欧州自動車部品工業会(CLEPA)は3月8日に、相次いで通商紛争激化に対する懸念を表明している。

(前田篤穂)

(EU、米国)

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