件数は7年ぶりの増加、金額は2年連続の減少(台湾)-2017年の対中直接投資動向(12)-

(台湾、中国)

中国北アジア課

2018年03月29日

2017年の台湾の対中直接投資(認可ベース)は件数が前年比79.6%増の580件、金額が4.4%減の92億4,886万ドルとなった。台湾企業の対外直接投資総額に占める中国の構成比は44.4%と前年と同水準となった。

対中投資の構成比は2年連続で5割を下回る

2017年の台湾の対中直接投資(認可ベース、事後認可分を含む、以下同じ)は、件数が前年比79.6%増の580件、金額が4.4%減の92億4,886万ドルとなった(添付資料の表1参照)。件数は2010年以来7年ぶりに増加した一方、金額は2年連続でマイナスとなった。台湾経済部投資審議委員会によると、台湾企業の対中直接投資件数の増加は、中国大陸への輸出が回復したこと、中国経済の見通しもよいことから、主に中国大陸に生産拠点を置く電子メーカーが投資を拡大したことによるものだ。

台湾企業の対外直接投資総額に占める中国の構成比は44.4%と前年と同水準となり、2年連続で5割を下回った(添付資料の図参照)。中国以外の国・地域への投資については、英領カリブ海(中国を除いた金額ベースの構成比:51.2%)が最も多く、前年比2.2倍の59億2,031万ドルとなった。次いでシンガポール(7.9%)が41.1%減と落ち込んだものの、米国(7.2%)が2.6倍、ベトナム(5.9%)が51.2%増、オーストラリア(5.3%)が25.3倍とそれぞれ増加した。

電子部品が堅調に推移

業種別に台湾の対中投資額をみると、電子部品が前年比21.4%増の19億1,032万ドルと最大だった(添付資料の表2参照)。非金属鉱物製品は11億2,614万ドル(3.4倍)、卸売り・小売りは10億5,987万ドル(98.1%増)とそれぞれ増加したが、金融・保険は10億7,352万ドル(21.2%減)と2年連続でマイナス、パソコン・電子製品・光学製品も10億7,014万ドル(48.8%減)と減少した。

河南省への投資が大幅減

省・自治区・直轄市別に台湾企業の対中投資をみると、江蘇省向けが前年比19.4%減の23億2,510万ドルとなったものの、投資額に占める割合は25.1%と最大となった(添付資料の表3参照)。2位は広東省(構成比12.0%)で12.7%増、3位は上海市(11.2%)で6.2%減となった。上位5省・直轄市の構成比は66.6%となり前年(78.7%)よりも低下したが、これは、2016年に第2位だった河南省の大幅減(2016年は鴻海精密工業による鴻富錦精密電子への大型投資案件により急増)、第1位の江蘇省の減少が影響したものと思われる。

他方、投資が急増したのは、浙江省(2.0倍)、山東省(6.7倍)、安徽省(2.7倍)、四川省(2.4倍)だった。うち、浙江省は台湾化学繊維(フォルモサ・ケミカルズ&ファイバー)による台化興業(寧波)と台化苯酚(寧波)への間接増資案件が、四川省は太平洋崇光百貨と遠東百貨の子会社による成都遠東百貨への間接増資案件が金額増に寄与した。

製造業の投資額は上位案件の7割に

2017年の主な投資案件をみると、投資額が最も大きいのは、聯華電子による聯芯集成電路製造(アモイ)への間接増資案件だった(添付資料の表4参照)。2位は鴻海精密工業による蘭考裕富精密科技への間接増資案件、3位は富邦人寿保険による中華聯合保険集団の株式取得案件だった。なお、主な投資案件15件のうち10件が製造業で、主要案件の合計投資額に占める構成比は全体の7割に上った。前年に引き続き製造業の割合が高かった。

(嶋亜弥子)

(台湾、中国)

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