優秀なインドIT人材の確保を支援-ジェトロがインド人IT学生を対象とした就職フェアを初開催-

(インド)

サービス産業課、ムンバイ発

2018年03月30日

ジェトロは人材採用支援企業であるフォースバレーコンシェルジュ株式会社と協力し、インドIT人材を対象とした採用選考会「Japan Career Fair」をプネ市で2月3日・4日開催した。採用は主に理系大学の新卒学生を対象にしており、ジェトロが日本企業の就職マッチングイベントを開催するのはインドでは初めてのことだ。2017年9月の安倍総理訪印の共同声明における「人材交流の拡大」を受けて実施したもので、イベントにはグローバルな人材獲得を目指す国内企業が参加した。

1,000人を超えるインド人学生が応募

インド西部マハーラーシュトラ州の産業都市プネ市で2月3日・4日、ジェトロは人材採用支援企業フォースバレーと協力し、IT人材を対象とした採用選考会「Japan Career Fair」を開催した。本イベントにはインド人学生の採用を狙うIT企業10社(表参照)と、553名の学生が参加した。ウェブを通じて1,137名の学生から応募があり、事前にウェブ上での試験を通過した118名が2月3日に開催された一次面接に臨んだ。面接官として参加した日本企業担当者は「想像していたよりも学生の技術レベルが高く、かつビジネスセンスも持ち合せた即戦力の人材が多い」と話し、学生のレベルの高さに驚きをみせた。翌日の二次面接には49名が進み、最終的に数社から内定が出る見込みだ。

日本企業が今回の就職フェアに参加した理由として多かったのが、国内のIT人材不足だ。特定の開発言語のエンジニアが少なく日本国内では採用しにくいといった背景から、現地インド人材に期待して参加した企業が目立った。また将来的に自社が海外展開する際のコア人材として採用を検討しているケースや、近年注目されるAI、 IoTなどの先端IT技術は英語で扱われるため、効率的に先端技術を自社に取り入れるための人材として採用を検討しているケースもあった。

キャリアパスや待遇で満足させられるかが課題

就職フェアに参加したインド人学生にインタビューしたところ、「日本企業だから就職したい」、「日本の文化、環境、治安等に惹かれた」という学生よりも、「キャリアステップや待遇面で良い条件を提示する企業」を求めて応募する学生が多かった。今回の採用選考会の成果として複数社から最終内定が出る見込みである。外国人学生の採用に詳しい人材採用支援企業フォースバレーは「学士以上の学位を取得した学生であれば、日本の就労ビザ取得は他国に比べて比較的容易」としたうえで、「日本の『成長戦略』の一環として平成29年度に日本版高度外国人材グリーンカードが導入されるなど、日本政府は高度外国人材の受入拡大に取り組んでいる」と話す。採用側の日本企業としては、学生が最も重視するキャリアパスや待遇をどのように提示できるかが課題と言えよう。

(都築佑樹、若林康平)

(インド)

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