外資小売業のフランチャイズ進出が加速-人口密度の高さが商機になるか-

(バングラデシュ)

ダッカ発

2018年03月30日

バングラデシュは人口の多さに加え、人口密度も非常に高い。小売市場は活況を呈するが、これまで外資系の小売店はほとんど存在しなかった。しかし、近年、中国系の名創優品(MINISO)や日系の雑貨店ザクザク(ZAQZAQ)の進出などが相次ぎ、業界に新たな動きがみられる。

魅力は人口密度

バングラデシュの一人当たりGDPはアジアで低水準にあるが、人口密度でいえば、優位性があると言えよう。バングラデシュの政府発表では一人当たりのGDPは1,602ドル程度で、サービス産業が多く集まるベトナムの2分の3程度である。しかし人口密度は都市国家を除き、世界一である。小売店やレストランにおいては、客単価に加え、出店した1店舗にどれだけの客が訪れるかも重要だ。人口密度に強みを持つバングラデシュは、来客数は大いに期待できる市場といえる。

現在は外資が少ない黎明期

バングラデシュは外資参入規制がないにもかかわらず、外資系の進出は非常に少ない。現在までに同国に進出している外資系飲食チェーンは、米系のケンタッキー・フライドチキン、ピザハット、クリスピークリーム、コールドストーン、バーガーキングなどで、マクドナルドやスターバックスなど未進出の有名ブランドは多い。

他方、外資系の小売店もほぼ皆無だ。唯一、ユニクロを展開するファーストリテイリングがCSR活動の一環として設立したグラミンユニクロが店舗展開をするのみで、スーパーマーケットは地場企業が独自のブランドで展開するのみであった。

しかし近年、小売店の進出動向に新たな動きが出てきている。中国で多店舗展開する名創優品(MINISO)は、2018年1月にダッカ市中心部で高級ブティックも多く集まるボナニ地区に第一店舗をオープン。中国では低価格商品を揃えるイメージだが、バングラデシュでは価格設定も強気だ。すでに北部のシレットに2店舗目を構えている。これ以外にもミニラブ(MINI LOVE(中国系))、キオダ(KIO DA(マレーシア系))、ムムソー(MUMUSO(韓国系))といった雑貨ブランドが現地フランチャイジーと交渉中である。

写真 ボナニにオープンしたMINISO(ジェトロ撮影)

ZAQZAQは店舗網を拡大

こうした中、日本人が経営に参画する雑貨小売店ザクザク(ZAQZAQ)が2016年12月にバングラデシュに第一店を開店した。ZAQZAQを運営するZAQZAQ Super Store Ltd.の黒岩卓彦取締役氏は、日本では金属・プラスティック加工品の貿易会社を経営しており、中国への工場進出経験も持つ。ZAQZAQはすでにバングラデシュ国内に4店舗をフランチャイズにて展開しており、どの店舗も集客状況がよく、黒字化しているという。さらなる店舗拡大を見据え、現在新たに5店舗の出店についても加盟店候補と交渉中だ。同社は高級志向でなく、住宅街や学生街を出店対象とする。また加盟店のロイヤリティーを低く抑え、得意とするプラスティック製品を現地調達するなどして、高い採算性を実現しようとする戦略をとる。コンビニのようにイートインコーナーも設け、今後は日本の商品も取り扱っていく予定だ。

写真 ZAQZAQ1号店(ジャムナ・フューチャーパーク前)(ジェトロ撮影)

(古賀大幹)

(バングラデシュ)

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