CPTPPに投資や雇用の拡大を期待

(マレーシア)

クアラルンプール発

2018年03月30日

「包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定」(CPTPP、いわゆるTPP11)の署名式が3月8日、チリ・サンティアゴで行われたのを受け、国際貿易産業省(MITI)は、マレーシア国民にもたらす利益として、消費者の選択肢の拡大、さらなる雇用機会の創出を期待している。国内では今後18項目の法律改正が必要となるが、総選挙が控えており、手続き完了は2019年以降になる見込みだ。

国有企業章では要求が反映

ムスタパ国際貿易産業相は、CPTPPの署名に先立つ東京での首席交渉官会合終了後の1月24日に声明を出し、東京会合において22項目の凍結項目に合意し、協定文の完成、チリにおける署名式の予定が決定したことを発表していた。

11月11日の大筋合意時にマレーシアは、国有企業章に関する留保表について、石油・ガス部門における優遇措置の見直し緩和を要求し、署名までの継続協議事項となっていた。具体的には上流活動における物品やサービスをマレーシア企業から優先的に購入する比率を段階的に引き下げていく見直しで、この引き下げ措置の起算開始を「署名後」から「発効後」とすることが認められ、マレーシアの要求が反映されたかたちとなった。

国内手続き完了は2019年以降に

マレーシアではCPTPPがもたらす影響として、企業の海外進出拡大へ門戸が開かれること、消費者の選択肢が広がること、ビジネス環境が改善されることによる投資誘致の促進および雇用機会の創出に期待を寄せている。

他方、マレーシアでは8月までに総選挙が控えており、CPTPPの国内手続きの完了までには時間がかかる見込みだ。労働、ガバナンス、環境などに関連する合計19項目の法律改正が必要だが、3月15日現在で18項目の改正が残っている。政府は2018年中も手続きを進める方針だが、全ての法律改正を終えるのは2019年以降とみている。CPTPP発効について2019年初頭が初期目標とされている点について、ムスタパ大臣は「(CPTPP発効に必要な締約国の半数以上に当たる)最初の6カ国になることは不可能だ」と述べた(「ザ・サン」紙3月6日)。

(田中麻理)

(マレーシア)

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