CPTPP協定、11カ国閣僚が署名-チリは市場アクセスの改善に期待-

(チリ)

サンティアゴ発

2018年03月13日

「包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP、いわゆる「TPP11」)」の署名式が3月8日、チリの首都サンティアゴで行われ、関係11カ国の閣僚が署名した。署名式に先立って閣僚会合が開かれ、今後の批准手続き迅速化のほか、CPTPP関心国を歓迎する声明も発表された。

各国閣僚や関係者ら400人以上が参加

署名式はサンティアゴのクラウンプラザホテルで行われ、各国閣僚や関係者、プレスなど400人以上が参加した。日本からは茂木敏充経済再生担当相が出席し、チリからはバチェレ大統領とエラルド・ムニョス外相が出席した。バチェレ大統領は冒頭、「本日、これまでのプロセスを終え、市場開放、経済統合、国際協力が経済の機会と繫栄を創出する最大のツールであることを世界に向けて発信することができ、大変誇りに思う」とあいさつした。

ムニョス外相は「11カ国が参加するこの野心的な協定の目的は、経済成長に貢献し、企業、労働者、農業事業者および消費者に新たな機会を創出することだ。11カ国は保護主義に直面しているが、市場開放が有益で、大きな経済成長、雇用創出、貧困削減、繁栄をもたらすものと確信している」と発言した。

チリの既存のFTAよりも有利な条件に

外務省国際経済関係総局(DIRECON)のパウリーナ・ナサル総局長は「サンティアゴにおける本協定署名はチリのリーダーシップを示すもので、わが国のアジア太平洋地域に向けた戦略の大きなステップであることから、チリの市場開放政策の大きな成果だ」と述べた。また、「本協定は現在、国際貿易で直面している課題の解決に向けた取り組みに関する規則、標準が制定される。よって、CPTPPは他の地域経済統合協定や、今後のWTO、APECにおける交渉において避けられないバロメーターとなる。このような観点から、今後数年間、国際貿易ルールの基準となる事例に携わり、大変興味深い」とコメントしている。

チリは既にCPTPP署名国全てと自由貿易協定(FTA)を発効させているが、TPP交渉では既存の2国間FTAでは自由化の例外とされた品目について、新たに関税削減スケジュール設定する交渉が行われた。「本協定発効により、市場アクセス拡大、サービス・投資分野、電子商取引、公共調達などの分野において恩恵を受ける」と外務省は発表しており、特に市場へのアクセスにおける具体的メリットとして、日本、マレーシア、ベトナム、カナダとの間で多数の品目について相手国側の特恵待遇が改善される点を挙げている。

(中山泰弘、岡戸美澪)

(チリ)

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