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高まる医療需要をビジネスに-医療機器規制が初めて導入される-

(インド)

ニューデリー発

2018年03月30日

インドでは、増え続ける巨大な人口を背景に、医療サービスへのニーズが年々増している。政府は低所得層向けの野心的な医療費補助制度を発表するなど積極姿勢は見せているものの、医師や看護師の不足など課題は多い。そうした状況下、医療機器の輸入、販売などに関するルールが2018年から明確化された。

ニーズと課題多く

インドにおける医療需要は年々拡大の一途を辿る。しかし、KPMGが2018年3月に発表した「最新技術によるインドのヘルスケアエコシステムの可能性の再考」調査によると、インドにおける医者、看護師、病院ベッド数は世界保健機関(WHO)の推奨値と比べ低い。人口1,000人あたりの医師数は、1人が推奨されているところ0.65人、看護師は2.5人のところ1.3人、病床数は3.5床のところ1.3床に留まっている。また都市と郊外、私立病院と公営病院との医療レベルや医療費の差は大きく、医療サービスの所得格差が存在する。

政府は低所得層への医療支援拡大

インドの国家予算における医療分野への支出もBRICS諸国内で最も低く、国家予算の4.6%(中国:12.6%、南アフリカ:14.0%)、GDPの1.3%(中国:3.1%、南アフリカ4.3%)に留まる。こうした背景もあり、政府は2018年度予算案で医療分野の充実を掲げ、低所得家庭(1億世帯、約5億人)に対し、年間最大50万ルピー(約80万円、1ルピー=約1.6円)までの病院費用を保障する「国家健康保護スキーム」の導入を発表した。必要経費は中央および州政府が負担するという。また、医療分野でのデジタル化やイノベーションの拡大に向けた政府支出も増額見込みだ。

コルカタで医療イベント開催

インド東部に位置する西ベンガル州の州都コルカタを中心に活動するベンガル商工会議所は3月8日から11日にかけて、地元の私立メディカ病院と共に「ヘルステック2018」をコルカタで開催した。会議では、手術を疑似体験するバーチャルリアリティや、治療方法を検討する3Dプリンターといった先端技術を、価格面などを考慮してどのように医療の現場に導入していくかなどのテーマが議論された。

ジェトロは同イベントに日本の医師や医療関連企業と共に参加し、日本の医療や機器の魅力を紹介する「ジャパン・アワー」を9日に開催し、50名程が参加した。ジェトロ・ニューデリー事務所の仲條一哉所長は冒頭、「日本は高齢化の進展で、医療や医療機器の技術レベルを高めつつ、介護や未病などの総合的な取組を拡大している。日本の技術や経験をインドでも存分に発揮してもらいたい」とした。次に、在コルカタ総領事館の田中康彦首席領事は、日本政府が推進する日本の医療技術・機器・サービスの国際展開や人材育成についての事業を紹介した。さらに、広島大学病院心不全センターの木阪智彦助教は、広島大学が広島県と連携し実施している医療機器の開発にデザイン思考を取り入れた実践的な人材育成プログラム「バイオデザインプログラム」について説明した。

続いて日本の医療機器メーカーから各社のインド事業についての説明があった。日立インディアの田村正義ゼネラルマネージャーは同社がAIIMSに提供しているエネルギー制御とIT導入の事例を紹介。朝日インテックの山根康明ゼネラルマネージャーは治療用ガイドワイヤーなど、技術力と品質の高い同社製品を紹介し、「2012年時と比べビジネスは5倍に成長した」とコメントした。オムロンヘルスヘアインディアの土倉一範社長は、血圧計、ぜん息発作を感知する製品群や血圧のほか歩数、睡眠時間などの生活データを記録できるウェアラブル血圧計について紹介。エア・ウォーター・インディアの樋口一哉ゼネラルマネージャーは、手術室設備、手術用スポンジやカメラから医療ガスまで、同社が扱う多様な領域の製品について説明し、「医療のワンストップサービス提供者となりたい」とした。

2018年から医療機器のルール明確化

これまでインドには医療機器の輸入、製造、販売、使用に係る、医療機器の規制のみを目的とした個別の法律は存在しておらず、いくつかの使い捨て注射器、カテーテルなどの特定の製品が「医薬品」として「医薬品・化粧品法」のもとで規制されていた。これに対し「医療機器規制2017(Medical Device Rules,2017)」が2018年1月から発効し、同規制下に規定される医療機器リストが整備され、各機器にまつわるリスクによって4分類されるなど、医療機器全般に関するルールが明確化された。当地に進出する日系医療機器関連企業からは、「新たな対応が必要になった事項もあるが、医療機器に関するルールが明確化されたことは評価できる」といった声が出ている。

(古屋礼子)

(インド)

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