中国、米国の鉄鋼・アルミ関税適用への対抗措置を準備

(中国、米国)

北京発

2018年03月26日

米国が通商拡大法232条に基づき、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の輸入関税を課すことを受けて、商務部は米国から輸入する128の商品に追加関税を課す対抗措置を準備していることを発表した。商務部は関連部門や企業などから、対抗措置に対する意見や提案を3月31日まで受け付けている。

128の商品に最高で25%の追加関税を想定

商務部は3月23日、米国が通商拡大法232条に基づき、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の輸入関税を課すことを受けて、米国から輸入する128の商品(2017年の対米輸入実績:約30億ドル)に追加関税を課す対抗措置を準備していることを発表した。拡大法232条の適用でもたらされる中国の利益損失とのバランスを取るとしている。

商務部は、同措置はWTOの関連協定に基づくもので、双方が定められた時間内に補償の合意に至らない場合に、第一段階として、果物、ドライフルーツ、ワイン、シームレス鋼管など120の製品(9億7,700万ドル)に15%の追加関税を課すとしている。そして、その後さらに米国の措置の中国への影響を評価した上で、豚肉、アルミニウムスクラップなど8つの製品(19億9,200万ドル)に25%の追加関税を課す。

商務部は関連部門、地方政府、団体、企業、個人から、対抗措置に対する意見や提案を3月31日まで受け付けている。現在想定している128の商品については、商務部のウェブサイトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)からHSコードで確認できる。

米国に対して協議の重要性を強調

商務部報道官は対抗措置の準備の発表の際、米国の国家安全を名目とした輸入制限措置が、WTOを代表とする多国間貿易体系、国際貿易秩序に著しく影響していると非難するとともに、中米両国にとって協力が唯一の正しい選択だと強調し、米国ができるだけ早く中国側の懸念を解決し、対話と協議を通じて双方の隔たりを解決し、中米協力の大局に損害をもたらすことを避けるよう働き掛けるとした。

李克強首相は、第13期全国人民代表大会第1回会議終了後の記者会見で、中米間の貿易戦争は双方に利益をもたらさず、勝者はいないとして、協議と対話で紛争を解決する必要があると述べていた。中米協力や両国間の協議の重要性を強調しており、中国としては摩擦回避を図りたいところだ。

しかし、米国が中国の技術移転策や知的財産権侵害について、通商法301条を発動することに対して、商務部報道官は3月23日に、中国は自身の合法的な利益に対する損害を座してみるのみということはなく、十分な対抗準備はできており、断固として自身の合法的な利益を守るとの談話を発表している。そして、中国は貿易戦争を望まないが、決して恐れはしないとしている。米国に対して慎重に決断をして、両国の経済貿易関係が危険な状況に陥らないことを望むとしつつも、対抗措置の発動に含みをもたせている。今後の動向が注目される。

(宗金建志)

(中国、米国)

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