2017年の新車販売台数は17.1%増-税制改革の影響から2018年は横ばいか-

(フィリピン)

マニラ発

2018年03月30日

2017年のフィリピン新車販売台数は前年比約17.1%増の47万4千台と過去最高を記録した。一方で、2018年1月からの新車物品税の増税等の影響で、今年2月の新車販売台数は5年半ぶりに前年同期比割れとなった。業界団体は2018年の新車販売見込み台数を2017年と同等の約47万台と予測している。

2017年の販売台数は過去最高の47万4千台

2017年の新車販売台数は47万4千台と、昨年の40万5千台から約17.1%増加し、過去最高を記録した。2017年2月には政府による自動車登録ルールの厳格化、7月には配車アプリサービスに登録するドライバーの新規登録制限などのマイナス要因はあったものの、市場への影響は限定的だった。好調な経済や内需を背景に、2018年1月に始まった自動車物品税の増税前の駆け込み需要も重なり、日系企業を中心に各社とも売り上げを伸ばした。

2018年の新車販売台数について、フィリピン自動車工業会(CAMPI)は前年と同水準の約47万台との予測を示した。フィリピン政府が2018年1月に20年ぶりに実施した税制改革(2018年3月27日記事参照)により自動車の物品税が増税されたことで、2018年2月の新車販売台数は約2万6千台(前年同期比3.2%減)となり、2012年8月以来5年6か月ぶりに前年同期比割れを記録した。ただしCAMPIは、2019年には税制改革の影響が薄れ、当初2020年の目標であった50万台を一年前倒しで達成できる可能性もあるとみている。

国内生産台数増加へテコ入れ

他方、2018年の国内生産台数は約14万1千台と、昨年の約11万7千台から21.0%増加した。新車販売台数に占める国内生産台数の割合は37.8%(2014年)、34.2%(2015年)、32.5%(2016年)、33.2%(2017年)と、2017年こそ昨年比で微増したものの全体として伸び悩んでおり、好調な国内需要に対して国内生産台数が追いついていないことが分かる。現政権は、2015年に前政権が発令した「包括的自動車産業振興戦略(CARS)プログラム」(注)を引き継いだ上で、国内の自動車産業の振興を通した製造業全体の底上げと雇用の創出を図っている。同プログラムで支援対象車種と認定された三菱モーターズ・フィリピンズ(MMPC)の「ミラージュ(「ミラージュG4」含む)」は2017年に現地生産が開始され、同じく支援対象車種と認定されたトヨタ・モーター・フィリピン(TMP)の「ヴィオス」は今年中に国内生産が開始される見込みである。

(注)「包括的自動車産業振興戦略(CARS)プログラム」(大統領令第182号):国内で新規に生産される四輪自動車3モデルを対象に、2016年から6年間で総額270億ペソ(約567億円、1ペソ=約2.1円)を支援するプログラム。(1)6年間で1車種20万台の生産を行うこと、(2)部品製造のための新規投資または共用検査施設を設置すること、(3)重量ベースで50%以上を国産化することなどを要件とする。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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