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苦境に立つバングラデシュの映画産業-日本映画が観客を取り戻せるか-

(バングラデシュ)

ダッカ発

2018年03月30日

バングラデシュで上映される映画の本数は地場映画が輸入映画をわずかに上回るが、地場映画のヒット作は非常に乏しい。設備が整っている映画館も少なく、収益も得にくい。映画を含めた文化振興も国の重要な政策と認識されているが、現状としてはインフラ整備予算や人的開発予算に政府財源の多くを割いているのが現状だ。バングラデシュで人気を博する日系映画コンテンツが映画館に観客を読み戻すカギとなるか期待される。

地元映画のヒットは年5~6本

英BBCの報道によれば、バングラデシュの映画市場は最新2011年時点で2,000万ドル。同国のGDPに比して映画産業の占める割合はごくわずかだ。バングラデシュでの2015年の商業上映本数は116本(内訳:地場映画62本、輸入映画54本)、2016年は130本(内訳:地場映画70本、輸入映画60本)で、本数では地場が輸入映画をわずかに上回る。バングラデシュの1本あたりの製作単価は1,000万タカ(約1,300万円、1タカ=約1.3円)程度だが、ヒット作といわれるのは年間5、6本しかない。ほとんどの映画の興行収入が製作単価を割っている状況だ。輸入映画のほとんどはハリウッド映画で、ヨーロッパのものも一定数ある。一方、ボリウッドなどのインド映画はバングラデシュ地場映画の収益を阻害するとの理由で、放映が禁止されている。

映画館のほとんどが小規模で旧式

バングラデシュには約250の映画館が存在し、スクリーンは約260幕だ。つまりほとんどの映画館は1つしかスクリーンを持っていない。そういった映画館は通常のプロジェクターで映画をスクリーンに映し出すのみで、音響設備や冷暖房設備も整っていない。映画1本あたり50~200タカで鑑賞できるが、設備の状況が悪いため利用客は少ない。一方、ダッカ市中心部にあるジャムナ・フューチャー・パークとボシュンドラ・シティーという2つの大型商業施設には、それぞれ「ブロックバスター」、「スターシネプレックス」という映画施設がある。「ブロックバスター」には7幕、「スターシネプレックス」には6幕のスクリーンがあり、設備もデジタル化(デジタルシネマパッケージ)されている。一般席は400タカと通常の映画館の2倍以上であり、さらに追加料金を払えばペアシートなどで鑑賞することもできる。スターシネプレックスのカレド A. シャミ エグゼクティブダイレクターは同映画館への来場者は1か月平均で5~6万人おり、特に家族連れやカップルがよく利用しているという。

写真 スターシネプレックスの入り口(ジェトロ撮影)

バングラデシュの映画振興の課題

映画製作の興行収入だけでなく、例外を除き観客動員数も振るわないバングラデシュでは、映画館離れが進んでしまっている。映画に出演する俳優・女優の冷遇も懸念だ。映画関係者によれば、バングラデシュのトップ女優の映画出演料が1本あたり60~70万タカ程度といわれている。そのため、トップ女優たちはバングラデシュで人気が出た後、より報酬の高いボリウッドなどの海外に活動拠点を移してしまう。バングラデシュ映画振興協会(BFDC)は、「政府の予算がインフラ整備や人的開発に取られてしまっている」と漏らす。確かに2016-17年度の文化省への予算配分は42億タカに対し、2017-18年は全体予算規模が拡大しているにも関わらず、41億タカに減額された。興行収入が減少する多くの映画館は自力で環境整備をすることができず、廃館してしまうことも多々あるという。BECDは、「政府から与えられた予算枠では協会の運営業務で精一杯。協会として十分な活動ができず、映画館や撮影施設の改修費用などは見込めない」と打ち明ける。

日本映画で観客を取り戻せるか

日本大使館は国際交流基金およびバングラデシュ国立博物館と共催で、2016年に日本アニメ映画祭、2018年に日本映画祭を行った。会場はバングラデシュ国立博物館で、「ブレイブ・ストーリー」や「武士の献立」など各7作品を上映した。特に2018年は週末開催ということもあり、4日間(2018年1月26日(金)、27日(土)及び2月2日(金)、3日(土))で2,500名を動員した。バングラデシュは親日国ということもあり、日系コンテンツは人気が高い。日本映画でバングラデシュの映画産業の振興支援をできる可能性もある。

(古賀大幹)

(バングラデシュ)

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