タキイ種苗のインド初、アジア最大級の工場が稼働-カルナタカ州を拠点にインド国内の供給体制を構築-

(インド)

ベンガルール発

2018年03月30日

種苗業界大手のタキイ種苗(京都府京都市)は、インド南部カルナタカ州の州都ベンガルールで工場を稼働させた。同社にとってインドにおける初めての工場であり、アジア最大級の規模を誇る。今後インド国内で拡大する野菜種子の需要を商機と捉えて本格的に生産体制を構築する。

タキイ種苗が初のインド工場を設立

タキイ種苗は2013年に現地法人「タキイインディア」(カルナタカ州ベンガルール)を設立し、インドでの種苗事業を開始した。過去5年間は、日本から野菜種子などを輸入し直接顧客へ納品していた。しかし、インド国内の野菜種子の需要が拡大するに連れ、通関の煩雑な手続きにより時間通りに納品することが難しくなっていた。そこで、インドの巨大な市場を攻略するために、同社はインド初となる工場を設立し、3月14日に開所式を行った。同州で日系種苗業界が工場を設立するのは初めてだ。

グローバルサプライチェーンを担うインド拠点

同社の新工場は、カルナタカ州北部に位置するドッタパラプル工業団地の第3フェーズに設立され、ベンガルール中心地より約35キロ離れている。3.5エーカーの敷地面積に5,000平方メートルの工場を建てた。これは同社におけるアジア最大級の規模を誇る。

タキイ種苗の杉村理取締役は開所式で、「ベンガルールは高原気候に位置することで比較的涼しい気候であり、種苗事業には最適な環境である」と紹介した。特に種子は高温の影響で汗をかき、品質を落とす可能性もあるため、温度管理は非常に重要という。

同社はインド国民がよく食べるトマトやキャベツ、人参を中心とする野菜に注力していく。今後、日本から輸入した種子を新工場へ納品し、インド国内市場に向けた供給体制を構築していく。将来的にはインドを輸出拠点として捉え、中東やアフリカへの種子の輸出も視野に入れていくという。

拡大するインド種子市場

インド食糧農業評議会(ICFA)によると、国際的な種子市場は拡大傾向にある。地域別では、欧米諸国が全体の約55%を占める一方、インドは世界全体の4%のシェアにとどまっている。しかし、インド国内の種子市場は2010年から過去7年間に年平均成長率約20%で成長しており、2016年には約1,664億ルピー(約2,829億円、1ルピー=1.7円)規模に達した。インド国内の種子市場は今後も同じペースで伸びることが予測されている。

インドにおける農業従事者の知識の高まりを受け、国内では高品質な種子を求める傾向が強まっている。これらの背景を受け、タキイ種苗はインド農業従事者に高品質の種子を供給する「メイン企業」へとなることを目指している。

写真 タキイ種苗のインド工場開所式(ジェトロ撮影)

(土田葉、ディーパク・アーナンド)

(インド)

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