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対ロ投資の促進に向けてロ中政府が協力-2016年の中国企業の対外直接投資動向-

(ロシア、中国)

モスクワ発

2018年03月30日

中国の対ロ直接投資は2015年から減少しており、2016年の投資額は3億4,500万ドルにとどまっているが、中国のロシアへの投資活動の大部分は第3国を経由して行われているため、これらの活動は両国間の投資統計に反映されていないとみられている。ロシアと中国の両国首脳は2020年までに対ロ投資額を120億ドルに拡大する目標を掲げ、2国間の投資協力に関する政府間委員会を立ち上げて、投資プロジェクトの実現を促進している。

中国からの直接投資は減少傾向

ロシア中央銀行によると、中国からロシアへの直接投資額は2014年に12億7,100万ドル(ネット、フロー、国際収支ベース)に達したものの、その後、減少が続いている。2015年には6億4,500億ドル、2016年3億4,500万ドル、2017年第1~3四半期では、前年同期比9割減となる3,200万ドルにとどまった。残高でみると、2017年7月1日時点の中国の対ロシア直接投資残高は26億3,600万ドルで、内訳は、金融・保険分野が8億5,400億ドル、不動産6億500ドル、製造業4億4,900万ドル、建設1億7,800万ドルとなっている。

他方、ロシア科学アカデミー極東研究所および高等経済学院欧州・国際包括研究所でシニアリサーチャーを務めるワシリー・カシン氏は、中国の対外投資活動の大部分は第3国を経由しており、ロシアへの投資についても同様で、これらの活動が両国間の投資統計に反映されていないと指摘する。

対ロ投資促進に向けてロ中政府が協力

中国からロシアへの更なる投資促進に向けて、2014年にロ中投資協力政府間委員会が創設された。ロシア側はシュワロフ第1副首相、中国側は張高麗国務院常務副総理(第一副首相)が議長を務め、2020年に向けて中国の対ロ直接投資額を120億ドルに拡大する目標を掲げている。2017年4月には第4回の会合が開催され、投資プロジェクト数は73に達している。加えて、2016年6月には地域間協力枠組み「ボルガ・揚子江」に基づき、沿ボルガ地域と中国揚子江上流・中流地域の首長がウリヤノフスクに集まり、第1回会合が行われた。現在、優先的投資協力プロジェクトとして18案件がリストアップされているという(在中国ロシア連邦通商代表部ウェブサイト)。

2016年にロ中間で、エネルギー、建設、農業、金融分野における幅広い投資契約が締結された(表参照)。大規模なものとしては、ロシア石油化学大手シブル株式10%のシルクロード基金(注)への売却(取引額13億3,800万ドル)、ロスネフチの子会社であるベルフネチョンスクネフテガス株式20%の北京燃気集団に対する売却(同11億ドル)、ヤマルLNGプロジェクトのノワテク保有分株式9.9%のシルクロード基金への売却(同10億8,700万ユーロ)が挙げられる。2017年に入っても、中国中車(CRRC)とロシアのシナラグループが高速鉄道向けの車両製造に向けた合弁会社を設立したほか(7月)、中国国営電力大手の中国華電集団と地域発電会社TGK2の合弁プロジェクトにおけるであるヤロスラブリ州のフアジャニ・テニンスク発電所の株式2%を中国側が購入し、初めて中国側が過半を支配する発電所が誕生(2017年12月)するなどの案件が続いている。

他方で、両国間の投資案件は成功例ばかりではない。例えば、ロシアの金採掘大手ポリュスと中国の復星国際は、前者が後者に株式の10%を売却することに2017年5月に合意したが、2018年1月にポリュス側が当該取引は不成立になったと発表した。ロスネフチ株式19.5%をグレンコアとカタール投資庁が買収した案件では、当初はそれらの株式のうち14.16%が中国華信能源に再譲渡するとされていたが、中国側の資金調達の問題で遅れが生じていると報じられている。

(注)2014年末に、中国がアジアのインフラを整備するために創設した基金。「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」とは異なり、中国独自の政策判断で投資先を決める。中国国家開発銀行などが出資し、資金規模は400億ドル。

(齋藤寛、ワレリー・エスキン)

(ロシア、中国)

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